「しま子! しま子ぉ――!」
あたしは半狂乱になって叫んだ。
飛沫を浴びたしま子の全身あちこちが、不気味にドロリと溶けている。
黒い水の中の下半身が今どうなっているかなんて、想像したくもない!
さっきまで狂ったように暴れていた凍雨君は、もうピクリとも動かない。
完全に意識不明に陥っている。早く、一刻も早くなんとかしないと、ふたりとも死んでしまう!
でも、どうすりゃいいのさ!
あたしは、バカのひとつ覚えみたいに、ひたすら手を伸ばした。
こんな事したって、どうにもならないのは分かってる。
でも他にどうすればいいのか分からない。助ける方法がまったく分からない。なにひとつ浮かばない。
「が・・・ああぁー・・・」
しま子の叫び声が小さくなっていく。
もう、声を出す気力も失ってきているんだ。
沈んでいく。
しま子の体が、ズプズプと沈んでいく。
するとしま子が、肩に担いでいた凍雨君の体を両手に持って、自分の頭上高くに掲げた。
凍雨君を、酸の海から遠ざけるように。
彼を、なんとしてでも守ろうとするように。
しま子はあたしに、凍雨君を渡そうとしている。
しま子は、あたしの為に凍雨君を救おうとしたんだ。
あたしが、泣き叫んでいたから。
あたしが、酸の海に飛び込もうとしたから。
だから、泣き喚くあたしを守るために、あたしの身代わりになって自ら海の中へ飛び込んだ。
あたしの為に・・・。
自分の体が溶けてしまうことも承知の上で・・・。
あたしは半狂乱になって叫んだ。
飛沫を浴びたしま子の全身あちこちが、不気味にドロリと溶けている。
黒い水の中の下半身が今どうなっているかなんて、想像したくもない!
さっきまで狂ったように暴れていた凍雨君は、もうピクリとも動かない。
完全に意識不明に陥っている。早く、一刻も早くなんとかしないと、ふたりとも死んでしまう!
でも、どうすりゃいいのさ!
あたしは、バカのひとつ覚えみたいに、ひたすら手を伸ばした。
こんな事したって、どうにもならないのは分かってる。
でも他にどうすればいいのか分からない。助ける方法がまったく分からない。なにひとつ浮かばない。
「が・・・ああぁー・・・」
しま子の叫び声が小さくなっていく。
もう、声を出す気力も失ってきているんだ。
沈んでいく。
しま子の体が、ズプズプと沈んでいく。
するとしま子が、肩に担いでいた凍雨君の体を両手に持って、自分の頭上高くに掲げた。
凍雨君を、酸の海から遠ざけるように。
彼を、なんとしてでも守ろうとするように。
しま子はあたしに、凍雨君を渡そうとしている。
しま子は、あたしの為に凍雨君を救おうとしたんだ。
あたしが、泣き叫んでいたから。
あたしが、酸の海に飛び込もうとしたから。
だから、泣き喚くあたしを守るために、あたしの身代わりになって自ら海の中へ飛び込んだ。
あたしの為に・・・。
自分の体が溶けてしまうことも承知の上で・・・。


