神様修行はじめます! 其の三

「凍雨君! うわああぁぁ――!!」

あたしは、頭のてっぺんが破けそうなほど大絶叫した。

「うわああ! うああー! ああぁー!」

髪を掻き毟り、頭をブンブン振って叫び続ける。

「凍雨君ー!!」

反射的に飛び降りかけたあたしの体を、門川君がとっさに羽交い絞めにして、なんとか押さえつける。


「死ぬ気か!? 天内君!」
「凍雨君が! 凍雨君が!」

押さえつけられながら、あたしは暴れた。狂ったように泣き叫んだ。

嘘だ。こんなのは嘘だ。嘘に決まってる。


まだ幼さの色濃く残る、色白な笑顔。

キョトンと呆けた、丸い大きな薄茶の目。

少しだけ大人びた、悲しげな視線。

強い覚悟と決意に満ちた表情と、シャンと伸びた背筋。


あたし達の、大切な大切な仲間。

その凍雨君が、

共に未来を信じて生きると誓った凍雨君が、 

今、あたしの目の前で、

酸に全身を溶かされ、白煙を上げながら、のたうち回って絶叫しているなんて!


「いやだあ! 嘘だあぁ! こんなのいや――!!」


あたしはバカみたいに喚き続け、押さえ付けられてる手足をバタバタさせて暴れまくった。

それしか、できなかった。
あたしには、ただ、それだけしかできなかった。


「凍雨君――!!」
「うがああぁ――!」


体を丸めて苦しんでいたしま子が、突然ひと声吠えたと思うや、凍雨君をめがけて門から飛び降りた。


「し・・・しま子ー!?」