暗黒魔犬の黒い体毛は、それ自体が意思を持つかのように逆巻き蠢いている。
ずらりと生え揃った真っ白なキバは、上下共、捻じれて四方向へ伸びていた。
その一本一本が、まるでサイの角のように太い。
変化した絹糸に比べればまだ小柄だけど、それでも普通にビビるデカさ。
人の上半身くらい余裕で噛み砕きそうな巨大な牙が、鈍く光ってあたし達に狙いを定めている。
「うがああぁ――!!」
負けじと咆哮するしま子が、魔犬とあたし達の間に勇ましく立ち塞がった。
今にも噛み付く寸前の太い牙を、しま子の大きな両手が鷲掴みにする。
その場に組み合ったまま、双方一歩も動かない。
「しま子! 頑張って!」
あたしの声援に応えるように、しま子の両腕の筋肉がビクビクと震える。
鬼の剛力で押さえ付けられた魔犬の頭が、ひどく苦しげに暴れた。
均衡した力が双方を攻め、しま子と魔犬の足が土にググッとめり込む。
しま子頑張れ! 犬なんかに負けるな!
「があああ―――っ!!」
しま子の両肩の肉がボコリと盛り上がり、牙を掴んだまま魔犬の体を頭上高く持ち上げる。
全身をバネのようにしならせ、すごい馬力とスピードで地面に叩き付けた。
―― ドゥッ! ドゥッ! ドゥッ!
勢い良く連続強打された魔犬の体が、地面で激しくバウンドする。
悲鳴を上げて抵抗していた魔犬は、やがて力尽きて動かなくなった。
「やった! しま子!」
力比べで負けるもんか! うちのしま子は最強の鬼なんだぞ!
「天内君! 来るぞ!」
ハッと振り返ると、左右上空から魔犬が同時に飛び掛ってくるのが見えた。
げ!? 二匹同時!?
一匹でも、こんだけ厄介だってのに!
ずらりと生え揃った真っ白なキバは、上下共、捻じれて四方向へ伸びていた。
その一本一本が、まるでサイの角のように太い。
変化した絹糸に比べればまだ小柄だけど、それでも普通にビビるデカさ。
人の上半身くらい余裕で噛み砕きそうな巨大な牙が、鈍く光ってあたし達に狙いを定めている。
「うがああぁ――!!」
負けじと咆哮するしま子が、魔犬とあたし達の間に勇ましく立ち塞がった。
今にも噛み付く寸前の太い牙を、しま子の大きな両手が鷲掴みにする。
その場に組み合ったまま、双方一歩も動かない。
「しま子! 頑張って!」
あたしの声援に応えるように、しま子の両腕の筋肉がビクビクと震える。
鬼の剛力で押さえ付けられた魔犬の頭が、ひどく苦しげに暴れた。
均衡した力が双方を攻め、しま子と魔犬の足が土にググッとめり込む。
しま子頑張れ! 犬なんかに負けるな!
「があああ―――っ!!」
しま子の両肩の肉がボコリと盛り上がり、牙を掴んだまま魔犬の体を頭上高く持ち上げる。
全身をバネのようにしならせ、すごい馬力とスピードで地面に叩き付けた。
―― ドゥッ! ドゥッ! ドゥッ!
勢い良く連続強打された魔犬の体が、地面で激しくバウンドする。
悲鳴を上げて抵抗していた魔犬は、やがて力尽きて動かなくなった。
「やった! しま子!」
力比べで負けるもんか! うちのしま子は最強の鬼なんだぞ!
「天内君! 来るぞ!」
ハッと振り返ると、左右上空から魔犬が同時に飛び掛ってくるのが見えた。
げ!? 二匹同時!?
一匹でも、こんだけ厄介だってのに!


