神様修行はじめます! 其の三

だから絶対に諦めない。

このままでは、端境一族は決して幸せにはなれない事を、僕は知っている。

知っている以上、見過ごすわけにはいかない。


「僕は端境の民の、真の笑顔が見たいんだ」


「我ら一族の、真の笑顔・・・?」


「そうだ。これは僕の誓いであり、僕の救いでもあるのだ」


虐げられた者と、虐げた者が見つめ合う。

それは水と油。

お互いはどこまでも遠く、対極であるように見える。

でもあたし達は知っている。

水と油は混じり合う事を。

だから絶対に諦めないし、それを見過ごしはしない。


あぁ、見過ごすものか。
端境一族の悲痛の叫びを。

諦めるものか。
彼らを癒しに導く道を。

あたし達は、みな同じ。
罪を犯し、それでも癒される未来を信じて、茨の道を歩いていく者。


歩き出そう、マロ。
苦しみに留まり続ける理由なんて、無いよ。

これ以上、端境が不幸になるべき理由なんて無い。

そんなの、あってたまるか。


十年後、百年後、千年後。

そこにあるはずの、愛する者の真の笑顔。


あたし達は、その途方も無い道に向かって歩いている最中なんだ。


茨の道は苦しくて、まだまだこれから血も流すだろうけれど。


濁って澱んだ世界を一緒に変えよう。