「身に染み付いてしまったものは落ちぬ。ゴミをいくら洗ったところで、ゴミでしかない。門川当主よ、これで未来など、どうやって信じろと言う?」
言うのか? 信じろと。
こんな仕打ちをしておきながら、信じろと言えるのか?
惨い仕打ちの末に、やっとの事で訪れた反撃の時。
むざむざ捨てることなど到底できぬ。
千年前に信じた我らは騙され、奈落に落ちた。
そして再び信じろと? 信じて千年、耐えろと言うのか?
いつになるかは約束できぬが、それまでゴミのままでいろと?
・・・できぬ。
われ等とて・・・救われたい。
「我らはようやく報われ、癒されるのでおじゃる。 門川当主よ」
涙に濡れ、しゃくり上げる悲しい音が繰り返し響く。
子どものように泣き続けるその姿に、あたし達は無言だった。
身動きも、できなかった。
塔子さんと凍雨君は、言うべき言葉を失い沈黙するしかない。
絹糸は、心底辛そうにうな垂れていた。
しま子が、そんな絹糸を心配そうに見ている。
あたしは、惨たらしい事実を突きつけられた門川君を見ていた。
門川君は、良くも悪くも門川一族の御次男様。
一般人には雲の上の存在に等しい立場だ。
そんな彼はハッキリ言って、奴隷身分の一族の現状など、知る由も無かったろう。
特に鬼ババの奥方のせいで、自分が生き残る事だけで精一杯だったし。
彼は、知らなかったんだ。
だから恥じている。当主として。
だから。
「端境当主殿よ。それは・・・報いでも救いでも、癒しでもない」
お白粉の剥げた顔が、門川君を見つめた。
言うのか? 信じろと。
こんな仕打ちをしておきながら、信じろと言えるのか?
惨い仕打ちの末に、やっとの事で訪れた反撃の時。
むざむざ捨てることなど到底できぬ。
千年前に信じた我らは騙され、奈落に落ちた。
そして再び信じろと? 信じて千年、耐えろと言うのか?
いつになるかは約束できぬが、それまでゴミのままでいろと?
・・・できぬ。
われ等とて・・・救われたい。
「我らはようやく報われ、癒されるのでおじゃる。 門川当主よ」
涙に濡れ、しゃくり上げる悲しい音が繰り返し響く。
子どものように泣き続けるその姿に、あたし達は無言だった。
身動きも、できなかった。
塔子さんと凍雨君は、言うべき言葉を失い沈黙するしかない。
絹糸は、心底辛そうにうな垂れていた。
しま子が、そんな絹糸を心配そうに見ている。
あたしは、惨たらしい事実を突きつけられた門川君を見ていた。
門川君は、良くも悪くも門川一族の御次男様。
一般人には雲の上の存在に等しい立場だ。
そんな彼はハッキリ言って、奴隷身分の一族の現状など、知る由も無かったろう。
特に鬼ババの奥方のせいで、自分が生き残る事だけで精一杯だったし。
彼は、知らなかったんだ。
だから恥じている。当主として。
だから。
「端境当主殿よ。それは・・・報いでも救いでも、癒しでもない」
お白粉の剥げた顔が、門川君を見つめた。


