・・・うん。
違うんだ。その喜びは違う。
偽物なんだよ。
だって、千年前に起きた事だというのなら・・・
「罪も、償いも、癒しも赦しも、全ては千年前のものでしかありえない」
時は千年、流れてしまった。
その時の罪を責める事ができる人なんか、もう誰も居ない。
被害者には、加害者を責める権利がある。
でも加害者の子や、孫や、ひ孫にまで、罪の償いを要求する事はできないはずだ。
其の罪は、其の者だけのもの。
其の癒しも、其の者だけのもの。
罪も償いも癒しも赦しも、全ては当人同士だけのもの。
ある意味、非情であるのかもしれない。
だがそれが道理だ。
罪の波紋は広がりやすいからこそ、間違えてはならない。
被害者が救いを求めて責める行為と、弾劾とや誹謗とを、同意義と考えてはならない。
それを間違えては、再び大きな悲劇が起きるだけだ。
「なにを言うでおじゃるか! 端境一族には、雛型と共に門川を責め恨む権利があるのでおじゃる!」
ピシリと音をたてて扇を閉じ、門川君を指し示しながらマロが叫ぶ。
その白いこめかみに、くっきりと青い筋が浮かんだ。
「端境への酷い仕打ちの償いから逃げるつもりか!?」
「逃げはしない。それは僕の罪だ」
「ほう!? 認めるか!? ついに我らへの罪を認めるか!?」
険しい表情の片頬が上がり、マロは歪んだ笑いを見せた。
あたしは堪らず、ふたりの会話に割って入る。
「千年前に端境を奴隷にしたのは、千年前の門川だよ! 門川君の責任じゃないよ!」
「いや、僕の罪だよ。なぜなら僕は、何も考えようとしなかった」
「・・・考える?」
「そうだ。僕は、ただ、普通に受け入れてしまっていたんだ」
違うんだ。その喜びは違う。
偽物なんだよ。
だって、千年前に起きた事だというのなら・・・
「罪も、償いも、癒しも赦しも、全ては千年前のものでしかありえない」
時は千年、流れてしまった。
その時の罪を責める事ができる人なんか、もう誰も居ない。
被害者には、加害者を責める権利がある。
でも加害者の子や、孫や、ひ孫にまで、罪の償いを要求する事はできないはずだ。
其の罪は、其の者だけのもの。
其の癒しも、其の者だけのもの。
罪も償いも癒しも赦しも、全ては当人同士だけのもの。
ある意味、非情であるのかもしれない。
だがそれが道理だ。
罪の波紋は広がりやすいからこそ、間違えてはならない。
被害者が救いを求めて責める行為と、弾劾とや誹謗とを、同意義と考えてはならない。
それを間違えては、再び大きな悲劇が起きるだけだ。
「なにを言うでおじゃるか! 端境一族には、雛型と共に門川を責め恨む権利があるのでおじゃる!」
ピシリと音をたてて扇を閉じ、門川君を指し示しながらマロが叫ぶ。
その白いこめかみに、くっきりと青い筋が浮かんだ。
「端境への酷い仕打ちの償いから逃げるつもりか!?」
「逃げはしない。それは僕の罪だ」
「ほう!? 認めるか!? ついに我らへの罪を認めるか!?」
険しい表情の片頬が上がり、マロは歪んだ笑いを見せた。
あたしは堪らず、ふたりの会話に割って入る。
「千年前に端境を奴隷にしたのは、千年前の門川だよ! 門川君の責任じゃないよ!」
「いや、僕の罪だよ。なぜなら僕は、何も考えようとしなかった」
「・・・考える?」
「そうだ。僕は、ただ、普通に受け入れてしまっていたんだ」


