なんであんたがここで出てくる!?
せっかく雛型へ、心を込めたメッセージを送ってたのに!
懸命に訴え続けたあたしが、丸きりバカみたいじゃないの!
滲んだ涙も引っ込んだわよ! お前が引っ込め! お前が!
「なるほど、これが噂のマロね。よく分かったわ」
塔子さんが納得顔をしながら頷いた。
そりゃもう、一発で理解するだろう。この顔見たら誰でも。
マロは相変わらずのマロ眉、マロ化粧で、マロ衣装に身を包み、赤い布を背にして立っている。
塔子さんが一歩前へ踏み出し、そのマロ顔に向かって言い放った。
「あなたが端境一族当主のマロね?」
「マロ、ではない。典雅(てんが)におじゃる」
「別にどちらでもいいわ。あなたに用は無いのよ。雛型を出しなさい。隠し立てすると容赦しないわ」
腕組みしながら問答無用の口調で言い立てる、迫力満点な彼女に対してマロは・・・
「そなた」
「なによ?」
「なぜそのように、はしたない格好をしておじゃるか?」
「好きで肌襦袢一枚しか着てないわけじゃないわよ!」
「寒くはないのか?」
「寒いわよ! 正直言ってすごく!」
「なれば、何か着れば良いでおじゃろうに」
「関係ない話はやめて! あなたに用は無いと言ったはずよ!」
「麻呂とて、そなたに用など無い」
マロは扇を取り出し、口元を覆う。
白く塗られた顔の一重の目が、真っ直ぐ門川君を見ていた。
せっかく雛型へ、心を込めたメッセージを送ってたのに!
懸命に訴え続けたあたしが、丸きりバカみたいじゃないの!
滲んだ涙も引っ込んだわよ! お前が引っ込め! お前が!
「なるほど、これが噂のマロね。よく分かったわ」
塔子さんが納得顔をしながら頷いた。
そりゃもう、一発で理解するだろう。この顔見たら誰でも。
マロは相変わらずのマロ眉、マロ化粧で、マロ衣装に身を包み、赤い布を背にして立っている。
塔子さんが一歩前へ踏み出し、そのマロ顔に向かって言い放った。
「あなたが端境一族当主のマロね?」
「マロ、ではない。典雅(てんが)におじゃる」
「別にどちらでもいいわ。あなたに用は無いのよ。雛型を出しなさい。隠し立てすると容赦しないわ」
腕組みしながら問答無用の口調で言い立てる、迫力満点な彼女に対してマロは・・・
「そなた」
「なによ?」
「なぜそのように、はしたない格好をしておじゃるか?」
「好きで肌襦袢一枚しか着てないわけじゃないわよ!」
「寒くはないのか?」
「寒いわよ! 正直言ってすごく!」
「なれば、何か着れば良いでおじゃろうに」
「関係ない話はやめて! あなたに用は無いと言ったはずよ!」
「麻呂とて、そなたに用など無い」
マロは扇を取り出し、口元を覆う。
白く塗られた顔の一重の目が、真っ直ぐ門川君を見ていた。


