端境の一族達は、晴れやかな凍雨君とは対照的に、重々しく静まり返っていた。
凍雨君と門川君の姿を、食い入るように見つめている者。
俯いている者。
すすり泣いている者。
ギュッと唇を結び、視線を逸らしている者と、様々だ。
・・・簡単には、いかないんだと思う。
凍雨君の意思を理解して、その価値も分かってはいるのだろうけれど。
だからといって、自分達もそれに追随するか・・・というと、それはまた別の話で。
その感情は無理もない事だと、今なら分かる。
さっきはあたしも売り言葉に買い言葉というか、完全に我を忘れて、争いの火に油を注ぎまくったけど。
……元々、売られたケンカは高額買取しちゃう性格だから。
でも人間、そんな簡単にコロコロ気持ちを入れ替えられたら苦労は無いし、裁判所もいらない。
千年の間、誰にも顧みられることの無かった一族。
門川を責めるより他に、慰めを見つけられなかった人達。
千年の絶対的価値観ってヤツは、そう簡単には変わらない。
深い傷を癒すには膨大な時間がかかる。・・・凍雨君の言う通りだと思う。
なら、無理しなくていいよね?
無理なんかしたら傷口が開いちゃうよ。
時間がかかるなら、時間をかければいいだけの話。
うん、時間はあるんだ。世界が滅びてしまわない限りね。
だから、救いに行かなければならない。
世界を。
そして、未だ慰めを見つけられず、独りで絶望の淵に沈み込み続ける雛型を。
端境が、雛形が、世界中の誰もが、ゆっくりと癒される時間と場所を守るために。
「行こう」
門川君が仲間達の顔を見回す。
あたし達は深く頷き合って、先へと進み出した。
「どうかお待ちを。門川当主様」
凍雨君と門川君の姿を、食い入るように見つめている者。
俯いている者。
すすり泣いている者。
ギュッと唇を結び、視線を逸らしている者と、様々だ。
・・・簡単には、いかないんだと思う。
凍雨君の意思を理解して、その価値も分かってはいるのだろうけれど。
だからといって、自分達もそれに追随するか・・・というと、それはまた別の話で。
その感情は無理もない事だと、今なら分かる。
さっきはあたしも売り言葉に買い言葉というか、完全に我を忘れて、争いの火に油を注ぎまくったけど。
……元々、売られたケンカは高額買取しちゃう性格だから。
でも人間、そんな簡単にコロコロ気持ちを入れ替えられたら苦労は無いし、裁判所もいらない。
千年の間、誰にも顧みられることの無かった一族。
門川を責めるより他に、慰めを見つけられなかった人達。
千年の絶対的価値観ってヤツは、そう簡単には変わらない。
深い傷を癒すには膨大な時間がかかる。・・・凍雨君の言う通りだと思う。
なら、無理しなくていいよね?
無理なんかしたら傷口が開いちゃうよ。
時間がかかるなら、時間をかければいいだけの話。
うん、時間はあるんだ。世界が滅びてしまわない限りね。
だから、救いに行かなければならない。
世界を。
そして、未だ慰めを見つけられず、独りで絶望の淵に沈み込み続ける雛型を。
端境が、雛形が、世界中の誰もが、ゆっくりと癒される時間と場所を守るために。
「行こう」
門川君が仲間達の顔を見回す。
あたし達は深く頷き合って、先へと進み出した。
「どうかお待ちを。門川当主様」


