神様修行はじめます! 其の三

時の流れた先には未来がある。


それを形作るのは、ぼく達の役目だ。


未来には、どんな我ら一族の姿があるのだろうか。


千年先も今と変わらず、憎悪と怨嗟を吐き続ける姿か。


大人も子どもも年寄りも、女も男も笑顔に満ちた姿か。


「ぼくは自分の一族が大切だし、大好きです」


守りたい。幸せになって欲しい。笑顔でいて欲しい。


本当の意味で救われて欲しい。


現実に受けてしまった傷は深く、代償は計り知れなく大きい。


癒すには、膨大な時間がかかると思う。


でもぼくは、彼等を癒し続けます。


たとえ癒しが叶わなくても、絶対に途中で諦めたりしない。


大変な事だけれど、それがぼくに与えられた役目です。


悲劇の当事者には、過去の悲劇を嘆き、憂い、憎悪する権利がある。

それは当然のこと。


そして、その後に生まれる若い命たちには、どんな未来を生きるか自分で選ぶ権利がある。

それだって、もちろん当然のこと。


自分自身の憎しみを、何も知らない自分の子孫に刻み付けたくない。


過去の事実や歴史を知る事は、とても大切で必要なことだけれど。


それは、あくまで『学ぶ』ためだ。


自分の恨みを教え込み、未来永劫残してやろうと画策する事とは、意味が違う。


『学び』を『復讐』の手段にしてはいけない。


それはどこまでも、対極の意味であるべきことだから。


・・・ぼくは信じたい。


いつか癒された氷血の一族の、希望と幸せに満ちた未来を。


その、時の流れた先へと導くために、この身を礎にしたい。


それがぼくが自分で選び、望んだ道です。


自分で決めた、成すべき事です。


「だからぼくは今、ここにいる。永久様の隣にいるんです」