大人たちは、事あるごとに口にする。
全ては淡雪の、そして永久のせいと。
何も事情を知らぬ子ども達は、その言葉を深く胸に刻み込む。
悪いのは全部、淡雪と永久のせいだと信じていく。
「でも、本当はみんな知っているんだ」
淡雪様も、永久様も、悪くない。
分かってる。ちゃんと心の底では分かってる。
でも、なにかを責めずには、とてもいられなかった。
誰かのせいだと、恨まずにいられなかった。
せめて、そうでもしなければ、あまりにも・・・
生き残った者達が、そして氷の下の仲間達の姿が、哀し過ぎて・・・。
「門川を、奥方の華子様を責めたとしても、どうにもならなかったから」
太刀打ちできない事なんか、分かりきっていた。
どんなに恨んでも、どんなに責めても、強大な門川には何ひとつ通用しない。
こんなに苦しめられながら、責める事すらできないなんて辛すぎる。
だから・・・簡単に責められる相手を選んだ。
淡雪様も、反論するようなお方ではなかったのだろう。
じっと黙って、自分の一族からの怨嗟の責めを受け続けた。
積もり積もった恨みと憎しみを、吐き出せる。
吐き出した物の行き場がある。
『これは全部、お前のせいだ』と、堂々と憎しみをぶつけられる相手がいる。
それに救われて・・・
「そうやって氷血一族は、今日まで必死に生き延びてきたんだ」
凍雨君の独白に、誰も何も言わなかった。
悲しい空気に押し潰されたように皆、押し黙っていた。
全ては淡雪の、そして永久のせいと。
何も事情を知らぬ子ども達は、その言葉を深く胸に刻み込む。
悪いのは全部、淡雪と永久のせいだと信じていく。
「でも、本当はみんな知っているんだ」
淡雪様も、永久様も、悪くない。
分かってる。ちゃんと心の底では分かってる。
でも、なにかを責めずには、とてもいられなかった。
誰かのせいだと、恨まずにいられなかった。
せめて、そうでもしなければ、あまりにも・・・
生き残った者達が、そして氷の下の仲間達の姿が、哀し過ぎて・・・。
「門川を、奥方の華子様を責めたとしても、どうにもならなかったから」
太刀打ちできない事なんか、分かりきっていた。
どんなに恨んでも、どんなに責めても、強大な門川には何ひとつ通用しない。
こんなに苦しめられながら、責める事すらできないなんて辛すぎる。
だから・・・簡単に責められる相手を選んだ。
淡雪様も、反論するようなお方ではなかったのだろう。
じっと黙って、自分の一族からの怨嗟の責めを受け続けた。
積もり積もった恨みと憎しみを、吐き出せる。
吐き出した物の行き場がある。
『これは全部、お前のせいだ』と、堂々と憎しみをぶつけられる相手がいる。
それに救われて・・・
「そうやって氷血一族は、今日まで必死に生き延びてきたんだ」
凍雨君の独白に、誰も何も言わなかった。
悲しい空気に押し潰されたように皆、押し黙っていた。


