門川を・・・
否。
淡雪(あわゆき)を、そして、生まれた永久を責めた。
淡雪が、門川当主の愛人にさえならなければ。
永久が、この世に生まれさえしなければ。
自分達は、こんな目にあわずに済んだのに。
我ら一族の悲劇は全部……全部、あのふたりのせいだ。
昨日まで助け合って暮らしていた者同士が、今日は一握りの穀物の為に争い合う。
常にどこかで誰かが争って、平穏な日など一日も無かった。
飢えた母親の乳が足りずに、赤ん坊が死ぬ。
体力の無い幼子が死ぬ。
年寄りが死んでいく。
そして、飢えのあまりに人を殺して、食う。
増え続ける氷棺。冷たく氷漬けにされた仲間の姿。
でも・・・ぼく達は何もできない。
大切な家族が飢え、衰弱し、あげく寒さに凍えて死んでいく。
それを、指をくわえて見ているだけ。
かりにも、『誇り高き氷血の一族』と呼ばれた者達の末路が、よりによって凍死。
それが・・・それが我ら一族にとって、どれほどの屈辱である事か!
だから、責めた。
恨んだ。どこまでもどこまでも憎んだ。
この原因となった淡雪を。永久を。
全ては、あのふたりのせいだと。
否。
淡雪(あわゆき)を、そして、生まれた永久を責めた。
淡雪が、門川当主の愛人にさえならなければ。
永久が、この世に生まれさえしなければ。
自分達は、こんな目にあわずに済んだのに。
我ら一族の悲劇は全部……全部、あのふたりのせいだ。
昨日まで助け合って暮らしていた者同士が、今日は一握りの穀物の為に争い合う。
常にどこかで誰かが争って、平穏な日など一日も無かった。
飢えた母親の乳が足りずに、赤ん坊が死ぬ。
体力の無い幼子が死ぬ。
年寄りが死んでいく。
そして、飢えのあまりに人を殺して、食う。
増え続ける氷棺。冷たく氷漬けにされた仲間の姿。
でも・・・ぼく達は何もできない。
大切な家族が飢え、衰弱し、あげく寒さに凍えて死んでいく。
それを、指をくわえて見ているだけ。
かりにも、『誇り高き氷血の一族』と呼ばれた者達の末路が、よりによって凍死。
それが・・・それが我ら一族にとって、どれほどの屈辱である事か!
だから、責めた。
恨んだ。どこまでもどこまでも憎んだ。
この原因となった淡雪を。永久を。
全ては、あのふたりのせいだと。


