神様修行はじめます! 其の三

この状況になって、やっと本当にあの時の意味が分かる。


あたしを雛型に祭り上げようとした、長老の行動の真意が。


端境一族が座り女を提供しなければ、誰かが代わりになるしかない。


大罪人の身内のあたしが犠牲になったところで世間の誰も反対しない。


しないどころか皆、大賛成。

あたしは拍手喝さいと三三七拍子で送り出されることだろう。


世間の総意がそうであるなら、門川君も抵抗できない。


彼は世間を守るべき立場なのだから。


そうしてあたしを失った門川君がどんな状態になってしまうかは・・・前回の事件で証明済みだ。


失意の底に落ちた門川君なら、どうとでも好きにできるだろう。


操り人形にするのも、当主の座から引き摺り下ろすのも、ヘタすりゃ殺してしまうのも。


そして世界を救った門川長老は、まさに救世主として崇めたてられるわけだ。


・・・はは! 実によく出来てるもんだ!


まさに縦横無尽に張られた蜘蛛の糸。


どこに手を伸ばそうと足を伸ばそうと、糸は絡みつき逃げられないってわけか!


・・・・・・


血が出そうなくらいギリギリと強く唇を噛む。


悔しくて悔しくて、ムカついてムカついて。


もう堪らない! むかむかムカムカして吐きそうよ! つわりってこんな感じ!?


ちっくしょ―――!

あんのババ、やりやがったなあぁぁ!!


飛び出しそうな罵声を必死に口の中で噛み殺した。


この怒りを声に出しちゃうわけにはいかない。


あのババってどのババ?って誰かに追求されたらマズイ。


端境の一族は長老に利用されたんだ。


千年前の悲劇を。自分達がずっとずっと抱え続けていたコンプレックスを。


傷ついた自尊心をくすぐられて、ひとたまりもなく罠に落ちたんだろう。


ひょっとしたらあのマロ当主も、蜘蛛の糸にかけられてるのかもしれない。