神様修行はじめます! 其の三

叫ぶあたしの何倍も大きな声と険しい表情で、男達は怒鳴り返してきた。


「小汚いだと!? 汚いのは門川のほうだろうが!」


「我ら端境一族を玉座から引き摺り下ろしたあげく、一族らしい扱いもせずに奴隷扱い!」


「しかも今また、再び我ら騙そうとするとは!」


だから、騙してるわけじゃないったら!


結界を解いたのはあたし達じゃないよ! それはこの術師本人が・・・


そう怒鳴り返しそうになったあたしはギリギリ一歩手前で踏みとどまる。


あたしの目に、息子の遺体に縋って泣き続ける母親の姿が映った。


今ここで、真実を言ってしまったら。


この母親の立場はどうなる? まさに千年前の雛型の状況の再燃だ。


周囲からどんな仕打ちを受けるか分かったもんじゃない。


絶対に言うわけにはいかないよ。


門川の長老が、裏であたし達をハメようとしている事情も説明できない。


端境の門川への心証がドン底に悪くなって、ますます態度が強硬になるだけ。


なんとか今回の騒動を治めたとしても・・・


もうこの世界での端境一族の立場は絶望的だ。


面倒を極端に嫌う門川の上層部は、端境一族断絶って決断を下すかもしれない。


一族断絶。それはつまり・・・


全員、処刑。

一人残らず門川の手によって殺されてしまう。


そんな血まみれの大事件、世間に門川君の当主としての資質が問われる。


当主としての立場と歴史に、拭いきれないほどの大きな不信と黒い傷が刻まれてしまう。


呆然としてしまった。


なにこれ? あたし達って・・・


弁解する事もできない。信用してもらう事も不可能。


そして無事に解決しても追い詰められる。


八方塞がりだ。どこにも道が無い。


どうする? どうすればいい? これではまるで・・・


蜘蛛の糸に捕らえられたようだ。


そしてあたしは思い知った。唇を強く噛む。


長老、あんたは・・・


これが狙いだったんだね。