神様修行はじめます! 其の三

「皆、騙されるなよ。門川の者は誰も信用ならぬ」


「そうだ。なんといっても我ら端境を不当に虐げ続けた門川だ」


「きっと我ら一族を密かに抹殺し、それを異形のモノの仕業として処理するつもりなのだ」


ちょっとちょっと? あの、もしもし?


「なのだ」って自信満々に言い切っちゃってますけど、こっちはそんなこと全然思ってないから。


ただ、あたし達はこの現状をなんとかしなきゃならないの。だから・・・


「雛型はどこにいるの? お願いだから知ってたら教えてよ」


「ほらみろ! やはり雛型を狙っているぞ!」


「いや、狙ってるわけじゃないってば」


「貴様等、ついに本性を現したな!?」


「いやだから、本性もなにも・・・」


「口が裂けても何も言わぬぞ! 雛型も端境当主様も、我等が守ってみせる!」


「だから、あたし達も守りたいんだってば!」


あーもー! 

何を言っても擦れ違う。完っ全に噛み合ってない!


こっちが何か言うたびにおっちゃん達の神経が、ピリピリしていくのが手に取るように分かる。


これって丸きり、ヒス起こした時のうちのお母さん状態だ。


ねぇ頼むからちょっと落ち着いてよ!


「命の危機に気が昂ぶるのは分かるが、戦場で冷静さを欠く者は命を落とすぞ」


「・・・猫? なぜ猫がここに?」


「お前等のためじゃ。少し頭を冷やすがよいわ」


「待て。そういえば聞いたことがあるぞ」


あたし達の姿をひとりひとり確かめるように、男の視線が移っていく。


「息を飲むほど眉目秀麗な、見るからに賢しげな少年・・・」


男はそう言って門川君を見つめる。


「その傍らに影のように寄り添う、宝石を編んだような美しい毛並みの猫・・・」


そして視線は絹糸に移る。