神様修行はじめます! 其の三

あたしの前を走る塔子さんの姿は襦袢一枚。着物、脱ぎ捨てちゃうんだもん。


大丈夫かな。雪が積もっていないだけで気温は充分低いのに。


見てるこっちが寒いよ~。・・・くしゅんっ。


それでも陸上選手みたいな見事なフォームで走る塔子さんは寒さの気配も感じない。


「ちょっと! このまま目的も無く走り続けてもいいの!?」


全速力で走っているとは思えないほどしっかりした口調で話している。


ひょっとしたらあたし達にペースを合わせて、手を抜いて走っているのかもしれない。


確かにこのままムチャクチャに走ってても仕方ないよね。


また猿の軍団に出くわしちゃったら元も子もないし。


息切れして体力を消費しちゃう前に、なんとかしないと・・・。


「しばし待てぃ。いま気配を・・・うむ?」


しなやかな体躯で駆ける絹糸が小首を傾げた。


「なにやら・・・ふむ、これは結界じゃ」


「結界!? 雛型を見つけたの!?」


「いや、そうではないが。皆このまま道なりに真っ直ぐ進め」


何を見つけたのかハッキリ追及したいとこだけど。


全力疾走しながらの会話はキツイ。てか、あたしには無理。


だから言われるままに全力で走り続けた。


けど。

・・・・・・


さすがにっ、息がっ、切れてっ、きたっ。


しま子に引っ張ってもらってるから何とか走り続けてるけど、もう限界が近い。


激しい呼吸で冷気がノドに入り込み、咳き込みそうになる。


ひぃひぃっ・・・!


そのうちになんだか周囲に背の高い木々が多く見られるようになってきた。


そして木々の間に変わった形の紙垂が張り巡らされている。


ここは・・・?


突然、視界の先に人間の集団が見えた。


平安朝の衣装に身を包んだ女性達や子ども達が、地面に座り込んで身を丸くして怯えている。


それを守るように周囲をグルリと男達が囲んで立っていた。