神様修行はじめます! 其の三

「永久様、みんな! 今よ、走って!」

塔子さんが走り出す。


「しま子よ、術師を抱えて走るのじゃ! 皆ここから逃げるぞ!」


絹糸の声にしま子が大急ぎで術師を肩に担ぎ上た。


そしてあたしの手を引っ張って塔子さんの後を追って走り出す。


あたしは走りながら後ろを振り返って叫んだ。


「門川君! 凍雨君も早く!」


門川君が印を組んでいる凍雨君に声をかけた。


「凍雨君、行くぞ」

「はい、永久様!・・・えいっ!」


そしてあたしの後ろを門川君と凍雨君が追って来る。


そのすぐ後ろを猿たちが叫びながら追いかけて来た。


・・・と、ズデーンッ!と猿たちが次々と勢いよくスッ転ぶ。


へ? な、なに??


起き上がろうとした猿たちが、ろくに地面から体も離さず再び地面に倒れた。


ギャ!?ギャ!?と声を上げて、まるで地面に吸い付かれているような動作をする。


見ると、どうやら長い体毛が地面にくっついてしまっている様子だ。


「へへ。地面のできるだけ広範囲を、思いっきり低温の氷にしてやりました!」


凍雨君がイタズラっ子みたいな顔で笑う。


そうか! 冷凍庫の氷を手で触ると指にくっ付いちゃう原理だ!

やるじゃん凍雨君!


「向こうの地域にいた時、いつも使っていた罠なんです。これでだいぶ足止めになるはずです」


「よくやったぞ、凍雨君」


門川君に褒められて凍雨君の白い頬が嬉しそうに染まる。


ありがとう凍雨君、おかげで時間稼ぎができたよ。


この間に、どこかもっと安全な場所へ移動しよう!


そして一刻も早く雛型を探し出さないと!


脱兎のごとくにあたし達は走り続ける。


地面に雪が無くて走りやすいから助かった。この点は端境一族に感謝かも。