神様修行はじめます! 其の三

うろたえるあたしを塔子さんが白い目で見た。


「里緒、みっともないわよ。これだから現世の人間ってヤワね」


「だ、だって塔子さん」


「白米と水が無くても、生きたきゃ手持ちの武器を使って生き延びるよりほかにないで・・・」


― ギャアァッ! ―


猿が塔子さん目掛けて飛び掛ってきた。


すごい瞬発力と跳躍力。 一応安全域の距離は保ってたのに、ほんの一足飛びで。


大きく広げた両手の爪と、むき出しのキバが塔子さんを狙い定める。


振り向きざま、塔子さんが猿の懐に飛び込んだ。


こっちもすごい反射神経! 瞬きする間もないほどの瞬間的な動きだ。


おそらく塔子さん本人もほとんど無意識に体が反応しているんだろう。


猿の腹に彼女の右拳がめり込む。


猿は体をくの字に折り曲げ吹っ飛んだ。


一直線に群れの中に突っ込み、自ら仲間を数匹巻き添えにしてその場に倒れた。

・・・うわ、すげ。


「あたしの手持ちの武器はコレよ。これさえありゃ、どこまでも生き延びてみせるわ」


不敵な笑みで塔子さんは拳を掲げる。


― ギャッ! ギャーッ! ―


攻撃されて闘争心に火が付いたらしい。


猿たちが興奮した声を上げ、他の数匹が徒党を組んで飛ぶように突進してきた。


しまった! 集団で・・・!


キンッ!っと空気が凍り付く。


同時に本当に空間が凍りついた。


突進してくる猿たちの鼻先に、大きな分厚い氷の壁が瞬時に発生する。


あのスピードで突進してきたものだから、全員容赦なく顔面から壁に激突。


額から緑の血を流し、パタパタと猿たちは地に倒れた。


「ぼ、ぼくの武器はコレです!」


印を組んだまま、凍雨君が臨戦態勢を構えつつ叫ぶ。


「お前ら、雪と氷をなめるなよ! 痛い目みるぞ!」