神様修行はじめます! 其の三

うん、ここを切り抜けるのが先決だよね。


まずあたしは敵を見渡した。


猿たちは長くて鋭い犬歯を覗かせ、低く唸りながら距離をつめて来る。


― ギャッギャッ! ―


あちこちで呼応するような泣き声が響く。


声に合わせる様に、四方八方からゾロゾロと猿たちが集まり出した。群れを作ってるんだ。


数にものを言わせてる。こんな習性はリアルに猿ね。


本当に動物園の猿山みたいに、あたし達を狙ってどんどん数が増えていく。


「手早く片付けないと際限なしに増殖しそうな勢いだな」


「大丈夫だよ門川君っ。どんなに敵が増えたって皆で戦えば怖くない!」


あたしはグッと握り拳をにぎって、彼に向かって力強く微笑んだ。


そう、怖くなんかあるもんか!


今あたしの隣には門川君が、そして門川君の隣にはあたしがいるんだもの。


なにひとつ、恐れるものなど無い!


「あたしたち、そばに居れば無敵だよねっ」


「あ、申し訳ない。僕は一時、戦線離脱する」


「・・・・・・」


へ?

なんですと??


「だから、印が組めないと言ったろう?」


門川君は自分の両手を近づける。


するとキンッと小さな音がして、黄色い光が弾くように彼の手を反発させた。


「さっき彼が僕の手に結界を張ったんだ」

「・・・・・・」

「じきに解除できるが、今すぐは無理だよ」


・・・・・・・・・


あたしは思わず、横たわった術師を眺めた。


いや、決して文句なんか言う気は無いよ? 文句なんか。


んな、死者に対して礼を失した行為をするつもりはないけど。