神様修行はじめます! 其の三

術師の顔から見る間に生気が抜けていく。


呼吸は浅く、静かに・・・吸って、吐いて。


繰り返すたびに、その間隔が開いていく。


門川君と絹糸が、死にゆく人の姿を深い感情のこもった目で見つめている。


終焉の刻、遺る者は逝く者を見守る事しかできない。


今まで何度も何人も、ふたりはそうして逝く命を見送り続けてきた。


数え切れぬうちの、そのひとつ。


この術師の命もその中に今、刻まれる。


術師の肉体は、ただ呼吸を繰り返す。


吸って・・・吐いて・・・


吸って・・・・・・吐い、て・・・・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・


そして彼は、満ち足りたままで逝った。


彼のたったひとつの生が終わった。


とても穏やかな表情で。


たとえ、たとえどんな形で逝ったにせよ彼も戦いに散った仲間だ。


あたし達は全員、悲しくも厳かに、敬意をもって術師の最期を看取った。


― グルル・・・ ―


唸り声が聞こえてきた。


こちらを警戒して沈黙していた猿たちが、そろそろ動きを見せている。


「死の臭いに反応しておるようじゃの」


「死の臭い? もう死臭を感じているの?」


「実際の臭いではない。異形のモノは命の終わりを敏感に感じ取るのじゃ」


「彼の死肉を食らおうと狙っているようだな」


死肉を!?


そんな死者を辱めるようなこと、断じて許すわけにいかない。


守らなきゃ。せめて遺族の元に帰してあげなきゃならない!


「詳しい事情の説明は後回しだな。今はここを切り抜けるぞ」


門川君が立ち上がり、氷のように冷静な目でそう言った。