神様修行はじめます! 其の三

・・・・・・!?

全員がその言葉に驚いた。


あの長老達が、この全ての惨劇の黒幕!?


門川君は印を組もうとしていた手を下ろしてしまった。


「門川君?」

「印を組ませてもらわなければ、術は発動できない」

「あ、で、でも・・・」


治癒しなければ、この人は・・・。


「あの女の蜘蛛の糸を断ち切るのは至難の技じゃ」


「でもあの時、門川君はあたしを助けてくれたよ?」


「君と僕だからこそ、だよ。だが僕と彼では何の絆も無い」


門川君は軽く頭を横に振った。


「強引に治癒しようとすれば、それこそ発狂してしまうだろう。気の毒だが、彼の命は諦めるより他ない」


あたしは暗い気持ちで横たわる術師を見下ろす。


血まみれの彼はすごく苦しそうなのに、表情はとても満ち足りて見える。


信じているんだ。


自分の命が救われてはならぬと固く信じているんだ。


だからこのまま、幸せを噛み締めながら彼は死んでいく。


それを自分が望み、自身が選んだ道だと、疑いもせず信じきったまま殺されるんだ。


なんて残酷で、しかも命をバカにした仕打ちなんだろうか。


とても哀れで悔しくて、あたしは唇を強く噛んだ。


少しずつ終わりに近づく術師の呼吸の音を聞きながら、あたしの心は憤る。


ひどいよ、こんなのひどすぎる!


仮にも門川の長老なら、この世界を守るべきでしょう!?


門川上層部は腐れ根性揃いだけど、でも一応は長老の名がついてるのに!


逆に世界を破滅に導くようなマネをするなんて!


いったいどんなご大層な理由があってこんな事するのよ!