「結界張らなかったら、端境一族全滅じゃん! あんた分かってるの!?」
「おそらくこやつは分かっているのであろう」
「はあぁ!?」
分かってて張らない?
それこそ意味不明。なんで? どうして?
「これは妄信しておるな」
「妄信? なにを?」
「小娘、お前も身に覚えがあるであろう」
「・・・へ?」
「理不尽極まりない理屈なのに、それが正しい道だと信じて疑わぬ」
「・・・・・・」
「絶対に自分はその道を進まねばならぬのだと、一度妄信してしまえば二度と揺るがぬ」
・・・
・・・・・・
あ・・・・・
あの時の光景が脳裏にパッと浮かんだ。
権田原の雪の山中から転移の宝珠で連れて行かれた道場内。
御簾の向こうから聞こえてくる、あたしを諭す女性の声。
あたしが新たな雛型になるべきなのだと・・・。
「あの、長老のおばさん!?」
「そうじゃ。これはあの女の言霊、『蜘蛛の糸』じゃな」
絹糸が納得したように頷いた。
「この世の全てにおいて、人から成される事はならぬ事だと妄信しておるのじゃろう」
人から成されること全て?
結界を張れと命令される行為も。
端境一族を守ろうとする行為も。
自分の命が救われようとする行為も。
この世の全てを拒絶しなければならないと、この術師は信じ込んでいるの?
この世の者ならぬ異形のモノが、自分を殺そうとする事だけは受け入れるって?
・・・信じられない!
端境にとって結界を張るってことは、存在理由に等しい行為でしょ!?
その行為を止めさせることができるなんて!
しかもその結果、一族全滅だって分かりきってるのに!
「おそらくこやつは分かっているのであろう」
「はあぁ!?」
分かってて張らない?
それこそ意味不明。なんで? どうして?
「これは妄信しておるな」
「妄信? なにを?」
「小娘、お前も身に覚えがあるであろう」
「・・・へ?」
「理不尽極まりない理屈なのに、それが正しい道だと信じて疑わぬ」
「・・・・・・」
「絶対に自分はその道を進まねばならぬのだと、一度妄信してしまえば二度と揺るがぬ」
・・・
・・・・・・
あ・・・・・
あの時の光景が脳裏にパッと浮かんだ。
権田原の雪の山中から転移の宝珠で連れて行かれた道場内。
御簾の向こうから聞こえてくる、あたしを諭す女性の声。
あたしが新たな雛型になるべきなのだと・・・。
「あの、長老のおばさん!?」
「そうじゃ。これはあの女の言霊、『蜘蛛の糸』じゃな」
絹糸が納得したように頷いた。
「この世の全てにおいて、人から成される事はならぬ事だと妄信しておるのじゃろう」
人から成されること全て?
結界を張れと命令される行為も。
端境一族を守ろうとする行為も。
自分の命が救われようとする行為も。
この世の全てを拒絶しなければならないと、この術師は信じ込んでいるの?
この世の者ならぬ異形のモノが、自分を殺そうとする事だけは受け入れるって?
・・・信じられない!
端境にとって結界を張るってことは、存在理由に等しい行為でしょ!?
その行為を止めさせることができるなんて!
しかもその結果、一族全滅だって分かりきってるのに!


