「さあ、来るなら来なさい! まとめて相手してやろうじゃないの!」
チョイチョイと塔子さんが指先で「おらおらカモ~ン」する。
凄んだ表情は本当に頼もしくて、その男らしさにホレボレするほどだ。
女なんだけど。
猿たちは突然現れたあたし達を警戒して様子を伺っているみたい。
今のところ襲い掛かってくる感じは無い。
知恵もあるんだろうか?
その隙に門川君が術師の怪我の具合を確認する。
あたしも敵を警戒しつつ、横目で見た。
・・・ひどい。全身血まみれだ。
あちこち体の肉を食いちぎられているんだろう。
目は虚ろで朦朧としてしまっている。
でも、まだ生きてる。門川君なら助けられる。
門川君が治癒するために印を組もうとした。
するとその手を・・・
「・・・ならぬ」
なんと当の術師本人が彼の手を掴んで、印を組むのを邪魔し始めた。
ちょ、ちょっと? なにやってんのあんた?
「ならぬ、じゃないって。それじゃ印が組めないでしょ?」
「ならぬ・・・ならぬ・・・」
「君、大丈夫だから手を退けたまえ。いま僕が治すから」
「ならぬ・・・」
「傷は内臓まで達している。一刻も早く施さなければ君は助からないぞ」
門川君がいくら言っても、ならぬならぬの一点張り。
慌ててあたしが術師の手を引っ張ろうとしても、頑として言う事を聞かない。
死にかけている体で、どこにこんな力が?と思うほどに本気で抵抗してくる。
ちょっと! なにをそんなに必死に自分の救命活動の邪魔してんのよ!?
これじゃ文字通りの「必死」だわ! あんた分かってやってんの!?
「治癒しないと死んじゃうんだってば!」
「ならぬ・・・ならぬ・・・」
「だから、なにがならぬのよ!?」
「ならぬのだ・・・」
チョイチョイと塔子さんが指先で「おらおらカモ~ン」する。
凄んだ表情は本当に頼もしくて、その男らしさにホレボレするほどだ。
女なんだけど。
猿たちは突然現れたあたし達を警戒して様子を伺っているみたい。
今のところ襲い掛かってくる感じは無い。
知恵もあるんだろうか?
その隙に門川君が術師の怪我の具合を確認する。
あたしも敵を警戒しつつ、横目で見た。
・・・ひどい。全身血まみれだ。
あちこち体の肉を食いちぎられているんだろう。
目は虚ろで朦朧としてしまっている。
でも、まだ生きてる。門川君なら助けられる。
門川君が治癒するために印を組もうとした。
するとその手を・・・
「・・・ならぬ」
なんと当の術師本人が彼の手を掴んで、印を組むのを邪魔し始めた。
ちょ、ちょっと? なにやってんのあんた?
「ならぬ、じゃないって。それじゃ印が組めないでしょ?」
「ならぬ・・・ならぬ・・・」
「君、大丈夫だから手を退けたまえ。いま僕が治すから」
「ならぬ・・・」
「傷は内臓まで達している。一刻も早く施さなければ君は助からないぞ」
門川君がいくら言っても、ならぬならぬの一点張り。
慌ててあたしが術師の手を引っ張ろうとしても、頑として言う事を聞かない。
死にかけている体で、どこにこんな力が?と思うほどに本気で抵抗してくる。
ちょっと! なにをそんなに必死に自分の救命活動の邪魔してんのよ!?
これじゃ文字通りの「必死」だわ! あんた分かってやってんの!?
「治癒しないと死んじゃうんだってば!」
「ならぬ・・・ならぬ・・・」
「だから、なにがならぬのよ!?」
「ならぬのだ・・・」


