神様修行はじめます! 其の三

「やめい小娘。どうせどこまでも平行線なのじゃから時間の無駄じゃ」


「・・・そだね」


へーへー。

噛み合わないのは百も承知、もう慣れっこだよ。


塔子さんは、あたしと門川君をチラチラ見比べてる。


どうもあたし達が自分の想像通りの関係ではないらしい事に、薄々気がついたみたい。


凍雨君は凍雨君で、完全にビビッた目であたしのこと見てるし。


『ぼく、ひょっとしたら権田原の山中で殺されてたのかも!』


って考えてるのが、はっきり顔に表れてる。


凍雨君、ほんと、君って隠し事のできない素直な性格だね・・・。


その分かりやすい部分、門川君に分けて欲しいよ。


「では屋敷へ急ぐぞ」


「ふむ、そうじゃな。敷地内の様子がどうなっておるか気掛かりじゃ」


「そ、そうですね! 早く行きましょう!」


「仮にも端境の当主と一緒ならば、きっと雛型も無事ですわね?」


どうだろうか。

屋敷全体の結界は作動していないみたいだから。


でも個人の身を守る結界が有効なら、一族の他の人達もまだ無事かもしれない。


よし行こう! 端境の屋敷に!


いつの間にか炎は消滅していた。


あれほど群れていた鳥たちの気配も、微塵も無い。


完全に滅せられてしまったんだ。


・・・・・怖~。我ながら。


極力、日常生活において腹を立てないように注意しないと。


でないとあっちこっちで虐殺しちゃいそう。冗談抜きで。


亀たちが屋敷に近づくにつれ、少しずつ敷地内の様子が見えてきた。


やっぱり・・・異形のモノ達に襲われている!


なんだか毛むくじゃらの動物みたいな姿をした、二足歩行のモノ達だ。


広大な屋敷の、いたる所にウジャウジャ湧いているけれど。


あれ? なんだかあそこ、集中して固まってる・・・?


・・・・・・!?


人だ!


端境の術師がひとり、取り囲まれて襲われてる! 助けなきゃ!