神様修行はじめます! 其の三

「だからといって茶を飲みながら見学しておるわけにもゆくまいて」


「彼女はともかく、刺客部隊の負傷は大きいようだ」


そうだ。ムク犬ブラザーズも救助しなきゃならない。


一刻も早く結界を張り直してもらわないと間に合わない。


「行くぞ!」


門川君が掛け声ひとつ、ヒラリと亀の背中から飛び降りた。


次いで絹糸が、その後に凍雨君が飛び降りる。


ぎょえ!? こっから降りるの!?


みんな普通の顔して飛んでるけど、結構な高さあるんですけど!?


しま子があたしを小脇に抱え、バッと甲羅から飛び降りた。


ひえっ!? うわぁっ!

とっさに体を丸めてしま子にしがみ付き、来たるべき衝撃に備える。


ズゥンッ!と全身に響く衝撃に、体が大きく上下する。うお!


舌を噛まないように歯を食いしばるあたしの背後で声が響いた。


「永久は治癒に専念せい! 小者は我らに任せよ!」


白く渦巻く気の塊と、純白に輝く光。雷鳴と爆音。


それらが同時に重なり合い、半径10メートル範囲の全ての敵が、派手にぶっ飛んで砕け散った!


― ドオンッ! ドオォン! ―


周囲を照らす閃光と耳をつんざく雷音の連発。


倒しても倒してもトカゲ兵隊は群れて襲い掛かってくる。


地響きをたてながら絹糸の攻撃はトカゲを大量粉砕し、ケシズミにしていった。

でも・・・


全ては倒せていない。

至近距離の味方に配慮しているから絹糸が全力を出し切れないんだ。


力をセーブしながらだと、どうしても敵の一掃はできない。


塔子さんが険しい表情で顔を顰めている。


絹糸の攻撃を目の当たりにするのは初めてなんだろう。


激しい雷光に目が眩んでしまっている。