神様修行はじめます! 其の三

「塔子は生まれた時、父親に『闘魂』と名付けられそうになってのぉ。さすがに周囲が止めて、しぶしぶ塔子に変更になったそうじゃ」


と、闘魂って、あんた・・・。


ちょっとお父さん! 大事な娘の名付けにそんな、どっかの濃いプロレスラーじゃあるまいし!


ひどくない?それ!


「つまり塔子は、そういった一族の頭領娘なんじゃ」


「彼女は戦闘となると、何を置いても真っ先に駆けつけるタイプだよ」


「どうせ今回も、自ら望んで討伐隊に志願したのであろうな」


「おそらくそうだろう」


はぁ・・・なるほど。


別に逃げ遅れて襲われてたわけじゃないのね。


逆に塔子さんの方が率先して相手を襲ってたのか。


考えてみたら、ありえる話よね。あの塔子さんだもん。


ネチネチとヘビっぽい性格だと思ってたけど、意外と男前なトコもあるのね。


「どりゃあぁぁぁ―――!!」


うわっ、嬉しそうな声。

水を得た魚ってこういうこと?


振袖を翻し、激しい連発連打で敵を粉砕。


着物の裾を大胆に割り、生足を振り上げて強烈な蹴り技を繰り出す。


そして並みいるトカゲ兵隊を完全に砕いていく。


破壊力も確かに凄いんだけど、スピードがこれまたスゴイの何のって。


まるで分身の術でも使ってるみたい。


目にも止まらぬ技の連発を一瞬も休むことなく繰り出し続ける。


こりゃ体力も持久力もズバ抜けてるわ。呆れるばかりの身体能力。


・・・・・・化け物?


「小娘、ぼけっとするな。我らも行くぞ」


絹糸に声をかけられてやっと我に返った。


お、おぉそうだった。あたし助っ人に来たんだったよ。


思わず亀の甲羅の上に正座しながらノンビリ眺めてたけど、そんな場合じゃなかった!


しかし塔子さん、このまま一人で全部片付けちゃいそうだし。


手助け・・・いらなくない? トカゲ兵隊の方が助けて欲しそう。


いや、意地悪とかじゃなくて本気でそう思えるんだけど。