神様修行はじめます! 其の三

激しい蒸気の音が聞こえ続ける。


見えない内側ではどれほどの熱い蒸気が充満している事だろう。


マグマの熱はみるみる氷を溶かし、やがて氷龍の体も溶け崩れ始めた。


あぁ・・・溶ける!

凍雨君の氷の膜も氷龍も全部が溶けてしまう!


門川君の力を持ってしてもあのトカゲは倒せないの!?


氷龍は溶け崩れながらも、決して巻き付けを緩めない。


なおもギュウギュウとトカゲを圧迫し続ける。


頑張れ! お願い頑張って氷龍!!


祈るあたしの目前で龍は容赦なくトカゲを締め付け続ける。


その体は溶けて、溶けて・・・やがて銀色の表面も崩れて。

ああぁ、もう・・・


― ドオオオォォ―――ン!!! ―


あたしはノドの奥で悲鳴を上げて仰け反った。


鼓膜が破れるかと思うような爆発音。


風がどおん!っと襲い掛かってくる。大地を痺れさせるほどの、この衝撃波。


トカゲが氷龍もろとも、大爆発を起こした!


山のように白い蒸気がもうもうと立ちのぼる。


すごい大量のマグマが四方八方に細かく分散し、飛沫のように飛び散る。


なにこれ!? この量のマグマが地表を覆ったら・・・!


あたしはマグマが放物線を描き広がる様を目を丸くして眺めた。


死ぬ間際にとんでもない置きみやげ遺してくれて!


立つ鳥あとを濁さずって言葉、あんた知らないのか!?


「凍雨君!」

「・・・はい? あ! は、はいぃ!!」


ポカンと口を開けていた凍雨君が門川君の呼びかけに反応して裏返った声を出した。


ふたり同時に両手で印を組む。


ピシッと張り詰めた音が響いた。