神様修行はじめます! 其の三

とても言葉にならない感情を、必死に伝えようとしている。


「永久様、僕は罰を受けて当然です。でもどうか一族には・・・」


「その件はいい。追って沙汰する」


凍雨君がハッとして顔を上げた。


薄茶色の大きな目が驚いたように見開いている。


治癒を続けている門川君をポカンと見つめながら。


あたしは思わず横から口を挟んでしまった。


追って沙汰って、なにさ!?

それって、後から凍雨君の処罰を検討するって意味でしょ!?


「門川君、知ってるでしょ? 凍雨君は長老たちに脅されてたんだよ!」


「・・・・・・」


「許してあげるんだよね!? 罰ならあいつらに受けさせるべきだよ!」


「小娘、やめい。余計な事を言うでない」


白い治癒の光に包まれた絹糸が苦しげな声を出し、あたしの言葉を止めた。


門川君が眉間にシワを寄せてそれを嗜める。


「絹糸、しゃべるな」

「このバカ娘に、ちゃんとクギを刺さねばならぬわ」


細い金色の目があたしをジッと見上げる。


「これで、良い。『追って沙汰する』。これで良いのじゃ」


「絹糸・・・」


「よいな? 余計な事を広めるでないぞ? よいな?」


「・・・・・・」


呻き声交じりのその言葉に、あたしはコクリと頷いた。


絹糸は安心したように息を吐き、目を閉じる。


・・・・・・。


正直、何が『良い』のかよく分からない。

でも多分、本当にこれでいいんだろう。


長老たちとの関わりとか、凍雨君の立場とか。


あたしと門川君の関係とか、いろいろ複雑な事情。


絡まった糸の一本を持ち上げてしまえば、どうしたって他の糸も一緒に引きずり出されてしまう。