神様修行はじめます! 其の三

「セバスチャンさんからの手紙を届けてくれて、ありがとうね」


亀の甲羅をペチペチ叩いて、深い感謝の意を表した。


「本当に助かったよ、アレクサンドロヴィチ3世!」


「天内さんすみません。そっちの亀は奥さんの方なんですけど」


「へ?」


あ、こっち奥さんだったの? 間違えちゃった。失礼しました。


「えっと、奥さんも・・・ねぇ門川君、こっちの亀の名前は?」


「名前? その伝書亀に名前は無い」


門川君が絹糸を治癒しながら答える。


名前、無いの? かわいそうだよ。


じゃあぜひともあたしが、助けてもらった恩に報いて付けてあげなきゃ。


えぇっとね、この見事な飛行技術を讃えて・・・


「カモメちゃん! カモメちゃんがいいよ!」


「・・・天内君、それは亀なんだが」


「見りゃ分かるよ。でもこの素晴らしいホバリング技術を評価してあげるべきだよ」


「恩を仇で返すような真似はやめてくれ」


「ダメ? じゃあカワセミちゃん? ヒヨドリちゃん? でもヒヨドリってあんまりホバリング上手じゃないんだよね」

「あの、永久様・・・」


あたし達の会話に、待ちかねたように凍雨君が割って入った。


「申し訳、ありま、せんでした」


途切れ途切れの言葉が、ようよう口から零れる。


色白の彼の顔が緊張のせいか更に青白く見えた。


ゴクンとツバを飲み込み、俯いたまま怯えたような表情で謝罪を続ける。


あたしも思わず沈黙して、ふたりを見守った。


「僕は、罪を、犯しました。裏切りという罪を」


「・・・・・・」


「僕は、僕を、あの・・・あ・・・」


俯き、肩をすぼめて。

凍雨君は懸命に、言葉を探している。