神様修行はじめます! 其の三

爆撃でも受けたのかと思った。

異形のモノってミサイル攻撃するの?って本気で思った。


それほどの激しい音と衝撃だった。


壁も、床もボロボロに破壊されて原型を留めていない。


「う・・・」「ぐぅぅ~・・・」


無残に瓦礫が散乱する中で、あたこちに人が倒れて呻き声を上げている。


破壊された天井には巨大な穴が開いていた。


太い柱と柱の間に体を挟まれながら、あたしは掠れた意識で目の前の惨状を眺めていた。


痛い・・・気がする。お腹と胸。

これ、意識がハッキリしたらかなり痛かったりして。


意識戻るの、ちょっと怖いなぁ・・・。


たくさんの苦しそうな呻き声とか、悲鳴とか。

喧騒が薄ボンヤリと耳の奥に入ってくる。


何が起こったんだろう? なんで屋敷が壊れてるの? こんなにメチャクチャに。


みんな、怪我してるのかな? 大丈夫?


門川君、絹糸、どこ? どこにいるの?


門川君、門川君、門川君・・・。


体が柱に挟まって動かないから、目だけを動かして彼の姿を探す。


そうしているうちに徐々に意識がハッキリしてきた。


胸とお腹に走る痛みが、さらに覚醒を手助けする。


そうだ。彫刻鳥が鳴いて・・・


たぶん結界が本当に破られてしまったんだ。


ムク犬ブラザーズの力だけじゃもう限界だったんだろう。


今まで良く守ってくれた。無事なんだろうか、ブラザーズは。


― ガラガラガラ・・・ ―


天井から大きな瓦礫がバラバラと崩れ落ちてきた。


危ない。これじゃこの建物全体がもうすぐ崩れてしまう。


早く全員避難しないと大変な事に・・・


― ぬうぅぅぅ・・・・!! -


その時、天井の穴から突如として異形のモノが顔を覗かせた。


巨大な穴を埋め尽くすほどの、特徴のある巨大なその顔は・・・


爬虫類? トカゲ? トカゲ、だ。


しかもこれって、ただのトカゲじゃない。


朱と、黄と、赤と、黒。


異形のモノの肌は、明るい色彩をマダラに混ぜ合わせたように轟々と光り輝いている。


ドロリとした、粘度の高いこれは・・・


マグマだ。


ニュースで時々見る、火山が噴火した時に出る溶岩。


この巨大なトカゲみたいなヤツは、全身が燃え滾る溶岩で出来た化け物なんだ。


熱い。

熱が・・・空気が、まるで真夏の猛暑の・・・


巨大なトカゲの顔は、あたしのほとんど真上にあった。


トカゲの体からドロリと溶岩が垂れ落ち、その細い一滴が『ジュワッ!』と目の前の瓦礫を溶かした。


― シャアアァァァ・・・ ―


巨大なトカゲの目は、紛れも無くあたしを見つめている。


そして、大きな赤い舌をあたしに向かって伸ばす。


ドロリと、マグマが垂れ落ちて・・・・・・


あたしの意識は、容赦なく一気に覚醒した。