神様修行はじめます! 其の三

― ふぉん・・・ ―

鼓膜が震えるような不快感を覚えた。


ん? なんだろ、気のせいかな?


― ふぉん・・・ ぶお、ん ―


いや、気のせいじゃない。


確かに空気が・・・空が、大気が震えている。


その振動が体に伝わって体内を揺さぶっているんだ。


なんとも表現し難いその感覚に、あたしは眉間にシワを寄せて耐えた。


座敷内のみんなも気配を感じ、不審そうに辺りを見渡し始める。


― クエェェ―――・・・ン! ―


ひと際高く、一羽の彫刻鳥が鳴いた。


うわ!? ビックリした! な、なによどうした!?


ひょっとしてこれから産卵!? できれば後にして欲しいんだけど!


次々と彫刻鳥が鳴き続ける。

そして力尽きたように、バサバサと順番に床に落ちていった。


どうしたのよ!? しっかりしてよ鳥!


座敷中が呆気にとられる中で


「結界・・・破ラレ・・・マシ、タ・・・」


最後の一羽がそう言い残し、力尽きて倒れた。


・・・・・・!?

結界が破れた!!?


そんな! と思う間も無く、空間にゾッとする緊張感が走った。


激しい焦燥感が急速に募る。


・・・来る? 空から何かが・・・・・・


何か、とんでもなくヤバそうなヤツがどんどん・・・


どんどん、こっちに接近して・・・


「皆、大至急ここから避難・・・!!」

「小娘! 早くこっちへ来・・・!!」


門川君と絹糸が同時に叫び、そのどっちの言葉も終わらぬうちに・・・


耳をつんざく大音響と共に大広間の半分がぶっ壊されて、あたしの体も吹っ飛ばされた。