「あらあら困ったこと。里緒は急に言葉を忘れてしまったようねえ」
小ばかにするような塔子さんの声。
「ねえ皆さん、里緒は言葉を忘れてしまったのですって」
「まあ、それは大変。思い出させてあげなくてはねえ」
「刺激を与えれば言葉が出てくるかも」
「ああ、それは良い考えだわ」
塔子さんは手に持った扇をたたみ、あたしの頭をぺんぺんと叩き始めた。
「そうら、出てこおい、出てこおい」
――ぺん、ぺん、ぺん
くすくす・・・ふふふ・・・
おほほほ・・・・・・
頭の上を繰り返し叩く扇。蔑む笑い声。
あたしはますます唇を強く噛み、両手をギュッと握り締めて屈辱に耐える。
我慢、我慢。絹糸と子猫ちゃんの為だ。
こんなの全然平気だもん。痛くもかゆくも、無いもんっ。
「・・・塔子!」
絹糸の鋭い声が聞こえた。
金色の両目が、声以上に鋭く塔子さんを睨み上げている。
「過ぎた行いは身を滅ぼすぞ。小娘をこれ以上愚弄すれば、ただでは済まさぬ」
「あら、それは脅しかしら?」
絹糸の叱責なんて、どこ吹く風。
あたしの頭を叩く手も休めずに、塔子さんは余裕の声だ。
「ここで騒ぎを起こしてただで済まぬのは、さあ、どちらの方かしらねえ?」
小ばかにするような塔子さんの声。
「ねえ皆さん、里緒は言葉を忘れてしまったのですって」
「まあ、それは大変。思い出させてあげなくてはねえ」
「刺激を与えれば言葉が出てくるかも」
「ああ、それは良い考えだわ」
塔子さんは手に持った扇をたたみ、あたしの頭をぺんぺんと叩き始めた。
「そうら、出てこおい、出てこおい」
――ぺん、ぺん、ぺん
くすくす・・・ふふふ・・・
おほほほ・・・・・・
頭の上を繰り返し叩く扇。蔑む笑い声。
あたしはますます唇を強く噛み、両手をギュッと握り締めて屈辱に耐える。
我慢、我慢。絹糸と子猫ちゃんの為だ。
こんなの全然平気だもん。痛くもかゆくも、無いもんっ。
「・・・塔子!」
絹糸の鋭い声が聞こえた。
金色の両目が、声以上に鋭く塔子さんを睨み上げている。
「過ぎた行いは身を滅ぼすぞ。小娘をこれ以上愚弄すれば、ただでは済まさぬ」
「あら、それは脅しかしら?」
絹糸の叱責なんて、どこ吹く風。
あたしの頭を叩く手も休めずに、塔子さんは余裕の声だ。
「ここで騒ぎを起こしてただで済まぬのは、さあ、どちらの方かしらねえ?」


