神様修行はじめます! 其の三

あたしは落ち着き無く視線をキョロキョロさせた。


どこに座ればいいんだろ。確かここって、それぞれ座る位置が決まってるんだよね?


あたしって一応、まだ何の身分も持ってない身だし。


絹糸はちゃっかり門川君の隣にチョコンと座っちゃってる。


まぁ絹糸ならまだ許されるだろうけど、あたしがそれやっちゃマズイよなぁ。さすがに。

また非難轟々だ。


えっと、確か下座って入り口付近の事だよね?


じゃあここらへんに座っていようっと。


座敷の一番後ろが波風立たなくて良いのかもしれないけど、あたしは彼の護衛役なんだから。


あんまり離れるわけにもいかない。


体を小さくして目立たないように努めながら、座敷の中の様子を眺めていた。


何人か最前列に並んでいる者達の肩に鳥が止まっている。


あの鳥って・・・

太鼓橋の欄干の上の彫刻鳥だ。


初めてこの屋敷に来た時に見た、樹齢ウン百年の霊木うんぬんの彫刻鳥。


ふるふるっと生きているように身震いすると、次々と甲高い声でしゃべり始めた。


「御報告、申シ上ゲマス」


「門川全域、結界ガ、消失シテオリマス」


「全テノ一族ガ、空ト地上ヨリ、攻撃ヲ受ケテ、オリマス」


「戦況ハ、一進一退、兵力ハ、互角」


「被害モ、敵側ト、同等ト、オモワレマス」


うわあ・・・鳥が各地の一族の戦況報告してる。


各地の彫刻鳥同士、テレパシーかなんかで繋がってるのかな?


でもなんか、来日したばかりの外人さんみたいな片言ばかりでセンテンスも短い。


複雑で大量な情報伝達までは無理なんだろう。


いくらなんでも、元々が木製だしね。