神様修行はじめます! 其の三

術者たちは、一斉に息を飲み込んだ。


そしてそのまま視線を下げて沈黙する。


冷たさを感じるほどの彼の視線の力に、押さえつけられてしまったかのように。


「お前達も慌てておったじゃろう? じゃから聞き逃したのじゃよ」


「・・・・・」


「そう報告するがよい。分かったな?」


「・・・は、い・・・」


そう答えたまま、みんなは黙り込んだ。


『分かってるね? 分かったね? 言いたい事はそっちでちゃんと汲み取ってくれるよねぇ?』


って含み感満載の、いってみれば脅しだこれは。


術者たちは微妙に神妙な表情で、無言のままあたし達の後ろを着いて来る。


うぅ、空気が重い。

でも門川君と絹糸は相変わらず平然として歩き続ける。


その堂々とした悪びれない態度に感心しながら歩いていると、人々のざわめく声が聞こえてきた。


進行方向には、大広間が。


何十畳もある大座敷に門川の有力者が寄り集まってガヤガヤ騒いでいる。


門川君の姿を見つけると口々に騒ぎ立てた。


「当主様! お戻りになられましたか!」

「今までいずこに!?」

「何事でございますか!?」

「なんでもない。厠だ」


また厠パターンの繰り返し・・・。

ううぅ、空気が痛い・・・。


「お前達、本当に当主様は厠におられたのか!?」


「は、はい。さようでございます。厠に・・・」


「本当か!?」


「いやそれにしても少々時間が長すぎ・・・」


「僕の用足し時間の長短を詮議する場なのか? ここは」


一段高い場所に正座しながら、門川君が鋭く冷たい声で言い放つ。


「それに興味がある者がいるなら、あとでゆっくり話し合うとする。だが僕は今、別の話がしたい」


「は・・・・・」


「皆、異存は無いな?」


「ははっ!」


ズラリと揃った頭が一斉に門川君に向かって平伏した。