「さあ天内君、いつまでも座り込んでないで立ってくれ。行くぞ」
「どこに!?」
「決まってるだろう。帰るんだよ」
帰る!?
この状況を無視して!?
門川のために、世界のために、当主のためにと泣き続けている女達の涙を、完全スルー!?
いや、だからってあたしも生贄にされちゃうつもりなんて無いけれど!
それにしたってスタコラお家に帰っちゃいますか!?
あまりにも傍若無人というか、空気読めなさ過ぎじゃない!?
門川君も絹糸も、本気でこのまま帰るつもりらしい。
どんどんあたしから距離が離れていく。
白木の壁際に到着した彼は、右手の人差し指と中指をピンと立て、壁に向かって印を切った。
するとまるでその部分が切り取られたように、楕円形に大きく穴が開く。
おぉ、電ノコみたい!
思わず感心するあたしを置き去りに、ふたりはさっさと穴から外へ出て行ってしまう。
ちょっとマジで置いていかないで!
しかたないからあたしは跳ね起き、後を追った。
チラリと後ろを振り返ると、状況は全然変わっていなかった。
御簾向こうの影は平伏したままだし、刺客部隊も平伏したまま動かない。
侍女達はサメザメと泣き続けているし。
い・・・いいのかなぁ、本当にこのままで。
なんか後ろ髪引かれるんだけど・・・。
あたしが外に出るのと同時に楕円形の穴は消滅して塞がれた。
そこに穴があった事が嘘のように、まるきり跡形もなく。
はぁ、つくづく柔軟な応用性のある便利な能力だなぁ。
家をリフォームする時とかすごく重宝しそうだね。
周囲を背の高い木々で覆われた雪景色の中に、ポツンと道場は建っていた。
森の中の一軒家みたい。ホントどこなんだろここ。
冷たい冬の空気にさらされブルリと身震いする。
「どこに!?」
「決まってるだろう。帰るんだよ」
帰る!?
この状況を無視して!?
門川のために、世界のために、当主のためにと泣き続けている女達の涙を、完全スルー!?
いや、だからってあたしも生贄にされちゃうつもりなんて無いけれど!
それにしたってスタコラお家に帰っちゃいますか!?
あまりにも傍若無人というか、空気読めなさ過ぎじゃない!?
門川君も絹糸も、本気でこのまま帰るつもりらしい。
どんどんあたしから距離が離れていく。
白木の壁際に到着した彼は、右手の人差し指と中指をピンと立て、壁に向かって印を切った。
するとまるでその部分が切り取られたように、楕円形に大きく穴が開く。
おぉ、電ノコみたい!
思わず感心するあたしを置き去りに、ふたりはさっさと穴から外へ出て行ってしまう。
ちょっとマジで置いていかないで!
しかたないからあたしは跳ね起き、後を追った。
チラリと後ろを振り返ると、状況は全然変わっていなかった。
御簾向こうの影は平伏したままだし、刺客部隊も平伏したまま動かない。
侍女達はサメザメと泣き続けているし。
い・・・いいのかなぁ、本当にこのままで。
なんか後ろ髪引かれるんだけど・・・。
あたしが外に出るのと同時に楕円形の穴は消滅して塞がれた。
そこに穴があった事が嘘のように、まるきり跡形もなく。
はぁ、つくづく柔軟な応用性のある便利な能力だなぁ。
家をリフォームする時とかすごく重宝しそうだね。
周囲を背の高い木々で覆われた雪景色の中に、ポツンと道場は建っていた。
森の中の一軒家みたい。ホントどこなんだろここ。
冷たい冬の空気にさらされブルリと身震いする。


