神様修行はじめます! 其の三

彼の姿はどこにも見えない。


目の前に広がるのは、渦巻くような白い雪ばかり。


「門川君!? 門川君!」


白い空間に向かってあたしは叫んだ。


『天・・・く・・・』

「門川君!!」

『あま・・・な・・・』


彼の声が途切れた。あたしは夢中で走り出す。


どこから来たのか分からないから、どこへ行けばいいのか分からない。


それでも、とてもじゃないけど黙っていられない!


めくらめっぽう走り回った。


門川君! 今行く! 今行くから待ってて!


あたしの心は彼への感情で一杯になる。


今にもはち切れそうに膨れ上がる心を抱えて、懸命に駆け続けた。


門川君!


遮二無二、ひたすらに彼の事を、その存在だけを願い思う。


門川君―――!


白い渦。

天から雪が落ちてくるのか


それともあたしの体が天に向かって浮いているのか。


上か下かも判断できない空間に、あたしの体は引きずり込まれる。


門川君! 門川君! 門川君!


体と心が向かっていく。

彼へ。彼へ。彼の元へ。


彼の居るどこかへ。

あたしが居るべき場所へ。


行く! 行くから!

あなたの隣へ、今すぐ行くから―――!!