神様修行はじめます! 其の三

両目をギュッと強く瞑り、何度も何度も激しく首を振った。


「違う・・・いるから・・・そばに・・・」


いるから。

この世界に、あなたのそばに。


千年の、永遠の時を刻んで、あなたを守り続けると誓うから。


それを、あなたへの想いを捧げ続ける証とするから。


「だから・・・どうか、行かせて」

『冗談じゃない』


素っ気無い声。冷たい声。


あたしの震え声に対して、本当に彼の声は冷たいほどに冷静だった。


いつも通りの落ち着き払った彼の声。


『君は確かに言った。一生、僕のそばで僕を守り続けると』


「だから・・・あたしは守る為に・・・」


『聞く耳はもたない。とにかく自分の言動には責任を持ってもらおうか』


彼らしい言葉。

確かに彼にとって、一度言った言葉は絶対だ。


何があっても最後まできっと貫き通すだろう。でも・・・


「そばに居たら・・・守れないんだよぉ~・・・」


我慢できない感情の全てを吐き出すように、涙と共にあたしは言葉を吐き出す。


しゃくり上げた息は喘息のように激しく鳴った。


そばにいたら、ダメなの。


あたしの存在はあなたの足枷になってしまう。


なんの利益ももたらさない。利益どころか害にしかならない。


そんなの、耐えられない。


守ると誓った相手の害になる。


守りたいと切望する相手にとって、自分は迷惑な存在にしか成り得ない。


こんなに、こんなに愛しているのに。

そんなの、そんなの・・・


「とても耐えられないんだよ・・・」

『それでも耐えてもらおう』