神様修行はじめます! 其の三

そ、そういう事じゃなくて! 


彼よりも自分の身が大事とか、そんなんじゃないよ!


ただ、あたし達はお互いに誓い合ったんだ!


「生涯二度と離れないって約束したんだよ!」


その約束を、あの誓いを破ることはできない。


彼の元からいなくなるなんて、できっこない。


「ほう? 当主様の危機をお救いするよりも、隣にベタリとへばり付いている方がお前にとっては重要らしい」


「・・・!!」


「当主様を心よりお慕い申し上げるならば、身命に代えてお守りする事こそが忠誠の証であろうに」


「・・・・・・」


「我が身可愛いさ故に、お前は逃げたいだけじゃ。言い訳をつらつら並べて、誤魔化すでないわ。卑怯者」


・・・・・・!


卑怯者。

その言葉は重く鋭くあたしの胸を刺し貫いた。


・・・・・・・


同じような意味の言葉を・・・以前誰かに、言われていた気がする。


いつ? どこで誰に言われて・・・


あぁ。


そうだ。門川の廊下で塔子さんに言われたんだ。


お前は自分が一番大事なんだ。しょせん門川君より何より自分が可愛いだけだって。


まったく同じ事を言われてしまった。


あたし・・・間違ってるの?


真実、彼を思うなら彼の為に・・・術式を受け入れるべき?


そうすれば確かに事態は好転する。


間違いなく彼の為になる。