神様修行はじめます! 其の三

「なれば話は早い。お前に用件があり、ここへ呼んだのだ」


いや、全然早くないわよ。話。


ワンクッション挟んだ会話のテンポにイライラしてるんですけど?


いーから早くすすめて。話を先にっ。


「お前に、この非常事態を速やかに収めるよう命ずる」


・・・・・


はあぁぁ!?


あたしはつい、片頬をヒクリと持ち上げてしまった。


なに!? 用件ってそれ!?


何言ってんのっ。そんなん言われるまでもないってっ。


最初っからそのつもりで鋭意努力してたのに、それを横からちょっかい出して邪魔したのは、どこの誰!?


まったくもー、これだからおエライ人って面倒臭いのよ!


思考と発想と言動が、まったくもって一般人には理解不能!


「もちろん全力で頑張るつもりですけど!? その為にもぜひ、あたしを権田原へ戻してくれたらありがたいんですが!?」


また侍女が御簾越しにふんふん頷いている。


ええぇぇぇい、イライラする!


非常時だって分かってんなら、もっとスムーズに事を進めんかい!


ダイレクトに話せ! ダイレクトに!


イラついて指先をワキワキさせるあたしに、侍女がまたお決まりのひと言。


「我が主様のお言葉でございます。心して・・・」

「聞くから早く言って!」


淡々と侍女は言葉を続けた。


「お前に、新たな雛型となって結界を張るよう命ずる」


・・・・・

・・・・・え?


「今から術式を受け入れ、術具となって生まれ変わるがよい。座り女となり、この世界を異形のモノから守るのだ」