神様修行はじめます! 其の三

胸を張って宣言するあたしに向かい、凍雨君がガバッと勢い良く土下座した。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」


何度も何度も、頭を雪の上に叩き付けるように激しく下げる。


「許して欲しいなんて、言いません! 言えません! でも、せめてぼくも一緒に連れて行って下さい!」


上げた顔は雪にまみれていた。


両目は赤く充血して潤んでいる。


まるで食らいつくような必死の表情で彼はあたしに訴えた。


「おこがましいけど、せめて守らせて下さい! ぼくに天内さんを守らせて下さい!」


「氷血当主を同行させる命は、我等は受けてはおらん」


「お前達がなんと言おうと、ついて行くぞ! 天内さんひとりで行かせるもんか!」


彼は歯を剥いて刺客達に怒鳴った。


「ぼくをここに残せば、全部バラすぞ! それでもいいのか!?」


「ばれたところで、権田原に打つ手は無い。この非常時だ」


「・・・ぐっ!」


「お前は役目を果たし、氷血は救われる。後は黙って忘れることだな。全てを」


「そんなことできるわけが・・・!」


「身の程をわきまえろ。お前にできる事など何も無い」


― ガアアァァァー!! ―


その時、周囲の木々や空気を振動させるほどの烈しい咆哮が山を包んだ。


みんな驚いて変色した空を見上げる。


これってしま子の咆哮!?


しま子が戦闘モードに変化したんだ!


つまりそれほど苦戦してるってことなの!? ・・・しま子!!


「凍雨君!」


あたしに急に名前を呼ばれて、彼はビクッと背筋を伸ばした。


「は、はい!?」

「お願い! しま子の所に行って!」

「・・・え?」

「しま子が危ないの! 守って! お願い!」

「で、でもそれじゃ天内さんが・・・」

「あたしは大丈夫だから!」