神様修行はじめます! 其の三

やがて空の色が変色し始めた。


じわじわと紙に色水が浸透するように、一箇所から全体に広がっていく。


これで・・・いいのかな? これで成功ってこと?


たぶんこれでいいんだよね??


それにしても・・・

黄緑色に薄紫色が混じって、この色ってもう、なんと表現すればいいのやら。


かなり不気味ぃ~。


でもかえってそれが効果ありそうな雰囲気だ。


良薬は口に苦しと一緒。見た目で判断しちゃだめよね。うん。


「さあ戻ろう、凍雨君」


急がなきゃ!

しま子の所に戻って、あの木の赤ん坊の化け物達をなんとか片付けて。


お岩さん達と合流して、門川の応援部隊を迎えて。それから・・・


頭の中で今後の展開を予想しながら急ぎ足で歩く。


ふと、気が付いた。


凍雨君が付いてこない。

立ち止まったまま、一歩も動かない。


「凍雨君、行こうよ」

「天内さん・・・」

「どしたの? 早く行こう」

「・・・・・」


凍雨君は強張った表情で俯いている。


そしてポツリと言った。

「ごめん、なさい・・・」


 ?

なにを謝ってるの? あぁ、あの場から逃げ出したこと?


いいんだよ別に。そんなこと怒ってないから気にしないで。


「だから早くしま子を助けに・・・」


― キイィィ・・・ン ―


鼓膜を外に引っ張り上げられる嫌な音。


あ! この音! 凍雨君が現れた時の・・・!


雪の上に次々と、大きな複雑な図が浮かび上がる。


やっぱり! 転移の宝珠だ!


また誰が使ってるの? 絹糸が怒るぞー。