神様修行はじめます! 其の三

「うあぁっ!?」

しま子が気付いて慌てて後を追ってこようとした。


大量の枝が降る様に降り注ぐ。


凍雨君があたしの体に覆いかぶさるようにして、身を屈めて守ってくれた。


「があう――っ!!」


あたしと凍雨君を狙って枝を放つ化け物達に、しま子が唸り声を上げて飛び掛っていく。


その隙に凍雨君がまた、あたしの手首をつかんで走り出した。


あぁ! しま子!


あたし達はどんどんその場から離れていく。


しま子! しま子――!


山中の雪は深い。


切るほどに痛い冷気に吐く息が白く染まる。


先に走る凍雨君が少し道を作ってくれるけど、雪に足をとられて何度も転びそうになった。


そのたびに引っ張り上げられ、また走り続ける。


「ねえ待ってよ! 待ってったら!」


走り慣れない雪道に息は上がって散々だ。


ハァハァと荒い呼吸で懸命に訴える。


「お願い・・・止まって! もう、息が・・・」


ようやく凍雨君が立ち止まった。


あたしはしゃがみ込みそうになりながらゼエゼエ息を整える。


ハッ・・・ハッ・・・も、限界・・・!


なんなのよもうっ!!


逃げたくなる気持ちは分かるけど、先にやることがあるでしょう!?


「と、とにかく、小瓶を・・・!」


やるべき事をやらなきゃ。

まずはアイテム発動させて、シェルター張って。


それからしま子の所へ戻ろう!


凍雨君が袖口から小瓶を取り出した。

そして蓋を開く。


ドンッという音がして薄紫色の液体が飛び出す。


「わっ!?」

凍雨君が驚いて小瓶を放した。


雪に転がる小瓶の中から大量の液体が、天に向かって一直線に立ち昇った。


― ドシュウゥゥ・・・!! ―


あたしは呆気にとられて天を見上げる。


うっわー、噴水? まるで水道管の破裂みたい。


これってこの小瓶の容量的に不可能でしょ? どーなってんの?