神様修行はじめます! 其の三

バッ!っとしま子の腕から赤い血が飛んだ。


え!? 血!? ・・・なんで!?


見ると、剣山状態になった枝が腕に深々と突き刺さっている。


そのうちの数本は腕を貫通してしまっていた。


そんな! 当たるだけでダメなの!?


これじゃやっぱりラケットかバットじゃなきゃだめだわ!


しま子は平然とした様子で腕から枝を引き抜く。


しま子にとってはこの程度の怪我はたいした事ないみたいだけど・・・


――ビャッ! ビャッ! ビャッ!


たて続けに息継ぐ間も無く枝が襲い掛かってきた。うわ!

あたしは思わず身を縮こませる。


しま子が体を張ってあたしと凍雨君を守ってくれた。


その身に容赦なく突き刺さる尖った枝。

雪の上に散る赤い血。


一回分のダメージはそれほどじゃなくても、重なるとマズイ。


しま子がガードしてくれてる今のうちに、滅火の力であの化け物を・・・!


ドサリ! ドサリ! ぬるうぅぅ・・・


・・・・・!!


周り中の木のウロから次々と競うように化け物が這いずり出してきた。


す、凄い数! なによこれ! こいつらどんだけ出てくるつもりなの!?


ところてんか! お前等は!


・・・うわ、想像しちゃった。もう二度と食べれないかも。ところてん・・・。


いくらなんでもこんな数、とてもじゃないけどあたしの力じゃ・・・!


ガシッと手首をつかまれた。

そしてグイグイ引っ張られ、あたしは引きずられるようにその場から走り出す。


と、凍雨君!? どうしたの!?


「ま、待って凍雨君!」


凍雨君は真剣な表情で走り続ける。


凍雨君待って! 逃げるにしたってしま子を置いては・・・


そうだよ! 先ずはアイテムを発動させないと!


そうすれば新しい化け物は権田原の敷地内には入ってこられないんだから!