セバスチャンさんの声に緊張が走る。

あたしも寒さとは違うものが体を走り緊張した。


里は異形のモノで溢れかえっていた。


ここから見てもハッキリ分かるほど大量にウヨウヨしてる。


日本昔話に出てくるような様々な容姿をした化け物に、里は完全占拠されてしまっていた。


みんな・・・里のみんなは!?


「・・・来た!」


上空から巨大顔面が何匹が襲い掛かってきた。


凍雨君が、両足でしっかり牛の体を挟みながら気合を込めて両手で印を組む。


キンと凍った空気が巨大顔面の動きを鈍らせた。


いまだ!


あたしは一気に精神を集中させた。


血が沸き立ち、熱く燃える。

鼓動が速まり頭の血管がドクドク脈打った。


視界が・・・変化する。


遠い上空の巨大顔面との距離感が、頭の中で近づいたり遠ざかったり・・・


あぁ、意思が張り詰める・・・

力が膨れ上がる・・・


さあ、さあ、さあ・・・・・!


いけ―――――っ!!!


ドンッと体中の気が爆発を起こす感覚。


巨大顔面達は全て滅火の炎に包まれた。


真っ赤に燃え、もがきながら次々と落下してくる。


よおぉぉっしゃああ! 一丁上がりぃ!!


その下を掻い潜る様に、あたし達は権田原へ向かって駆け抜ける。


里の入り口に到着した。


セバスチャンさんは速度を緩めず、里の中に一気に突っ込んだ。


えぇ!? つ、突っ込むの!?

コッソリとか、静かにとか、バレないようにとか、そーゆーの一切無し!?


ひえぇぇ―――っ!!


あたし達も後へ続いて突入する!


当然、あたし達に気がついたモノ達が襲い掛かってきた。