神様修行はじめます! 其の三

「な、なんだよこれ!?」

「一匹こちらに近づいてきますわ!」


巨大な顔と大きなギョロ目が窓から中を覗き込んだ。


濁ったデっカい目玉が窓一杯を覆い尽くす。


うわ! なんてグロいズームアップ!?


あたしが思わず窓から飛び退くと、しま子が雄叫びながら腕を振り上げた。


――ガシャ――ン!


鋭い爪が窓を突き破り目玉の中にめり込む。


異形のモノの上げる身の毛のよだつ絶叫。


飛び散る緑色の液体。


巨大な顔は悲鳴を上げて雪の上をゴロゴロと跳ねるように転げていった。


「また来ますわ!」


次のヤツがすかさず攻撃してくる。


しま子がキバを剥き、殴りつけようとした。


腕が伸びた瞬間ガパッと気味の悪い唇が開き、生々しい舌が飛び出した。


それがしま子の腕にグルリと巻き付き、腕の付け根までバクリと飲み込む。


「がああぁぁ――っ!!」


異形のモノの口元が咀嚼するような動きをし、嫌な音と共にしま子が仰け反った。


「しま子―――――!?」


あたしはしま子の腕にしがみ付いて叫んだ。


何すんのよこの化け物! しま子の腕を放せ!


顔をガンガン殴りつけてもビクともしない。


か・・・固い! この皮膚!


どんだけツラの皮厚いのよあんた! まるでコンクリートの壁を殴りつけてるみたい!


あたしの拳の骨が震えるほど痛む。


ぐうぅ・・・痛・・・いぃ・・・!!


しま子の悲鳴はますます大きくなった。

頭を激しく振って苦痛に耐えている。


「しま子! しま子――!」

「があぁ!・・・ああぁ――!!」


あたしの怒りが沸点に達した。


「しまこお! ・・・こ、のおぉぉ―――!」


― ボッスゥ――ッ! ―


アッパーカットおぉぉ―――!!


あたしの渾身の一撃が、化け物の鼻の穴の中にめり込んだ。


うりゃあ――! しま子の腕放せぇ! この化け物お!!


異形のモノは顔を歪めてしま子の腕を吐き出した。