「そうですわね。アマンダの言う通りかもしれませんわ」
「やっぱり沈めます? 氷の下に。ぼくやりますよ?」
「凍雨君。そんな邪気の無い純粋な顔で、ツルっと恐ろしいこと言うのやめて・・・」
「端境は放っておいても問題は無い。彼等がこっちの邪魔をする暇など無いよ」
門川君があっさり断言した。
「なんで?」
「端境自身も、異形のモノに襲われないよう結界を張る必要があるからだ」
「世界への攻撃は黙っていても異形のモノが勝手にやってくれるからのぅ」
「そちらに戦力を割くより、自己防衛を完璧にする事が優先ですので」
「じゃから別に、こやつらを埋めも沈めもする必要は無いわい」
「そうか。うーん、そうですよねー・・・」
「だから凍雨君、そんな残念そうな顔するのやめてってば」
「天内君」
門川君があたしの目の前に立った。
そしてあたしの手を強く握り締める。
「君は滅火の一族、神の末裔だ」
「門川君」
「いいか? 自分の力を・・・自分自身の心を信じるんだ」
あたしは門川君の目を見つめる。
彼の目はとても真剣に、そして真っ直ぐあたしを射抜くように強く見つめている。
「忘れるな。僕は君を信じている。いいか? 信じている」
「うん」
「僕は信じている。君を。そして未来を」
門川君・・・・・。
あたしも彼の手を握り返す。
そして彼に向かって何度も深く頷いた。
「・・・永久、では行くぞ」
「あぁ、わかった。急ごう」
するりと彼の手が離れていく。
あ・・・
あたしは思わず追い縋りそうになり、グッと堪えた。
彼は絹糸の背に乗った。
絹糸はふわりと浮き上がる。
あたしをじっと見つめ続ける門川君をその背に乗せて。
門川君。門川君。
一抹の不安。あたしの心のにわずかに忍び寄るほの暗い影。
彼のそばに駆け寄りたい感情。
切ない気持ちが湧き起こる。
大丈夫よ。別にこれが今生の別れでもあるまいし。
あるまい、し・・・・・。
「天内君! 後で会おう!」
そう叫んだのを最後に、彼は灰色の空に飲み込まれていく。
「うん! 後で会おうね!」
小さくなる彼に向って叫ぶあたしの精一杯の返事は、もう彼には届かなかった・・・。
「やっぱり沈めます? 氷の下に。ぼくやりますよ?」
「凍雨君。そんな邪気の無い純粋な顔で、ツルっと恐ろしいこと言うのやめて・・・」
「端境は放っておいても問題は無い。彼等がこっちの邪魔をする暇など無いよ」
門川君があっさり断言した。
「なんで?」
「端境自身も、異形のモノに襲われないよう結界を張る必要があるからだ」
「世界への攻撃は黙っていても異形のモノが勝手にやってくれるからのぅ」
「そちらに戦力を割くより、自己防衛を完璧にする事が優先ですので」
「じゃから別に、こやつらを埋めも沈めもする必要は無いわい」
「そうか。うーん、そうですよねー・・・」
「だから凍雨君、そんな残念そうな顔するのやめてってば」
「天内君」
門川君があたしの目の前に立った。
そしてあたしの手を強く握り締める。
「君は滅火の一族、神の末裔だ」
「門川君」
「いいか? 自分の力を・・・自分自身の心を信じるんだ」
あたしは門川君の目を見つめる。
彼の目はとても真剣に、そして真っ直ぐあたしを射抜くように強く見つめている。
「忘れるな。僕は君を信じている。いいか? 信じている」
「うん」
「僕は信じている。君を。そして未来を」
門川君・・・・・。
あたしも彼の手を握り返す。
そして彼に向かって何度も深く頷いた。
「・・・永久、では行くぞ」
「あぁ、わかった。急ごう」
するりと彼の手が離れていく。
あ・・・
あたしは思わず追い縋りそうになり、グッと堪えた。
彼は絹糸の背に乗った。
絹糸はふわりと浮き上がる。
あたしをじっと見つめ続ける門川君をその背に乗せて。
門川君。門川君。
一抹の不安。あたしの心のにわずかに忍び寄るほの暗い影。
彼のそばに駆け寄りたい感情。
切ない気持ちが湧き起こる。
大丈夫よ。別にこれが今生の別れでもあるまいし。
あるまい、し・・・・・。
「天内君! 後で会おう!」
そう叫んだのを最後に、彼は灰色の空に飲み込まれていく。
「うん! 後で会おうね!」
小さくなる彼に向って叫ぶあたしの精一杯の返事は、もう彼には届かなかった・・・。


