神様修行はじめます! 其の三

「なによそれっ!!?」

あたしは思わずその術師に詰め寄った。


しま子に頭を咥えられている術師が、呻きながら手足を必死にジタバタさせている。


その腕をビシッと叩いて黙らせた。


うるさい! あんたちょっと静かにしてよ!


「どういう事よそれ!?」


「門川は端境にとって強力で手強い敵。未来永劫、表舞台から消え去ってもらう」


「な・・・!」


「これで端境の地位はこの先ずっと脅かされる事は無い」


「なるほど。考えたのぉ」


絹糸が口からカパッと術師の頭を吐き出しながら呟いた。


術師はヒィィと半泣きで腰が抜けたようにズリズリ後ずさる。


しま子! しま子もそんなの出しちゃいなさい! 早く!


あ、まさかもう食べちゃった?


絹糸とセバスチャンさんが向かい合って真剣に論じている。


「結界を張り直さねば、この世界は滅びる」


「他の手立てを講じるにしても、解決までに発生する被害は甚大でございましょうね」


門川君がその会話に割って入った。


「そして被害に遭った者達はこう考える。門川は自分の身の可愛さに、世界や他の一族を見捨てたのだと」


「うむ。門川の権威は地に落ちるであろうな」


「他の一族を押さえられなくなり、玉座から転げ落ちるでしょう」


三人は揃って頷く。


なるほど。どっちに転んでも門川が助かる道は無いんだ。


・・・ずいぶんとタチの悪い計画立ててくれるじゃないのさ!


よっぽど根性の捻じ曲がったヤツが考えたのね!


誰よ!? マロか!? あのおじゃるか!?


さすが歯が真っ黒なヤツは性根まで真っ黒なのね!