神様修行はじめます! 其の三

― ドスッッ ボスッ ガスッ! ―


「セ、セバスチャン、さん? あの・・・」

「はい? 天内のお嬢様」


クルッと振り向いたその顔は、口元に穏やかな微笑。


女性を虜にしてしまう例の美貌の笑顔だ。


「いかがなさいましたか? お嬢様」

「あ、いえ、その・・・頑張ってね」


死なさない程度に。


「はい。ありがとうございます」


彼はニコリと微笑み、クルリと向き直って・・・


― ドカッ ドスッ ガスッ! ―


ひえぇぇ~・・・。

セバスチャンさんって・・・やっぱり絶対、間違っても敵にしたくないタイプ。


機嫌を損ねないように最大限注意しなきゃ。


「う・・・ぐうぅ・・・っ」


術師が呻き声を上げた。


わ、目が覚めた! セバスチャンさんもういいから! ストップストップ!


目覚めた術師はあたし達に取り囲まれているのに気付いて、目に見えて慌てた。


そして倒れている他の連中の体を揺さぶる。


「お、おいお前たち起きろ!」

「う・・・・・」


次々と意識が戻る術師達。


焦った表情であたし達を見回し、そして悔しげな目で睨みつけてくる。


門川君が一歩前へ進み、彼等を見下ろしながら話しかけた。


「簡潔に答えてもらおう。端境は何をするつもりだ?」


「・・・・・」


「時間が惜しい。即答してくれ」


「誰が答えるものか! 腐った門川の当主になど!」


「そうだ! 味方を裏切るような真似は死んでも・・・!」


― カパッ ―


絹糸と、顎を外したしま子がガッパリと大きな口を開いた。


そしてふたりの術師の頭をスッポリと咥え込んでしまう。


わー!? 食べちゃったー!?