神様修行はじめます! 其の三

しょぼくれるその姿を見て、あたしは慌てて弁解する。


「あ、ううん凍雨君そんな! 助かったよありがとう!」


「・・・同じ氷血の力を持っていても、ぼくと永久様じゃ天と地との差が・・・」


「なにをおっしゃいますの!? 凍雨さんはご立派ですわよ、ねぇアマンダ!」


「そうそう立派だよ! 良くやってくれたよねぇ!」


しま子に担がれながら、あたしとお岩さんは笑顔で力強く頷き合う。


そこに変化した絹糸がふわりと降り立った。


「いや、なかなかに笑える術であったぞ小僧よ」


「ちょっと絹糸! 余計な事言わないでよ!」


「褒めておるのじゃよ。ある意味、立派な力技じゃ」


「だから、褒め言葉じゃないんだってそれは!」


「皆様、とりあえず術師の様子を確認しに参りましょう」


あ、うんそうだよね。急がないと権田原が・・・。


セバスチャンさんのそのひと言に皆が急いで岸辺に向かう。


術師達は揃って全員、完全にノビて気絶していた。


なんか、間抜けだなぁー。

・・・さて、こいつらどうしようか?


「目が覚めて暴れられても困るよね」


「でも気絶したままじゃ何も聞き出せないですよ?」


「悠長になんてしていられませんわ! セバスチャン!」


「はい。ジュエル様」


― ガズッッ! ―


返事をするなりセバスチャンさんが、一番近場の術師の腹を思いっきり蹴り上げた。

・・・げっ!?


「おら、いつまで寝てるつもりだよ。さっさと起きろ」


― ドカッ ドスッ ガスッ! ―


連発連打を容赦なく術師達に浴びせかける。


しかも、まったくの、あの綺麗~な無表情のままで。


そ、その無表情さと綺麗さのコントラストが、余計に怖いんですけど?


なんか、目が覚めた途端に、間髪おかずにまた気絶しちゃいそうな攻撃なんですけど?


お願い、うっかりそのまま死なせないでね!?