神様修行はじめます! 其の三

門川君が走りながら印を組む。


「待ってください! 永久様!」

隣で凍雨君が叫ぶ。


「ぼくが・・・!」

そう言って彼は素早く両手で印を組む。


― キィィ・・・ン ―


凍雨君の全身に気が満ちるのを感じる。


門川君の時と良く似た、大気に冷気が凝縮される気配がした。


やっぱり彼も門川君と同じ、偉大な氷血の力を持つ者!


今にもツタの呪縛から逃れようとしている術師達の頭上に、白い結晶のようなものが集まりだした。


みるみる終結して白く形作っていく。


あれは・・・雪の塊りだわ! 雪のボール!?


凍雨君が鋭い気合一発、印を組んだ手を前方に突き出す。


氷血一族当主の力が発動する!?



― ずごぉーんっ! ―


・・・・・


へ?


雪の塊りのボールが、そのまんま何の芸も無く術師達の頭の上にドズンと落下した。


その衝撃で術師達が目を回してその場にパタパタ倒れこむ。


・・・・・・・。


「やった成功! ざまーみろ!」


凍雨君が元気な歓声を上げて飛び上がる。


「雪って、けっこう質量がスゴイんですよ! あれくらいの塊りが頭に当たったら、普通に気絶しちゃいます!」


得意満面な顔で胸を張る凍雨君を、思わず見つめる。


つまり・・・それって単純に頭ぶん殴って失神させたって事?


ゴキブリをスリッパでぶん殴るのと同じ原理?


・・・ただ、それだけ??


みんなの視線を感じて、凍雨君はキョロキョロする。


そしてみるみるシュンと小さくなってしまった。


「あの、ごめんなさい。ぼくは確かに当主だけど、実はまだ修行中の身なんです・・・」