神様修行はじめます! 其の三

ジタバタともがいていると、空を切る音がどんどん近づいてきた。


あれは・・・爆弾が落下する音だ!


あれが全部地面に落ちたら・・・もしもあれに当たったら!


背中にゾッと寒気が走り、腹の底から冷たいものが込み上げる。


必死に立ち上がって数歩走って、また転んだ。


踏ん張ろうとしても、手も足もツルツルに滑って力を込められない。


あぁ、動けない! 爆発物が落ちてくる!


― ドオォォ・・・ン!! ―


耳をつんざく爆音。 空を照らす閃光と雷鳴。


頭上で多数の爆発が起こった。


稲光が走り、真っ赤な炎と真っ黒な煙が空を覆った。


爆風と閃光と爆発音に翻弄され、あたしは頭を抱えて体を固くする。


絹糸が咆哮しながら天を駆け巡っている。


浮遊物が地上に落ちる前に、全部を爆破させようとしているんだ!


うずくまっているあたしの体がヒョイっと抱え上げられた。


え? あ・・・しま子!


あたしの体は軽々としま子の右腕脇に抱え込まれる。


しま子の両足の爪が太く鋭く伸びた。


足元の氷にしっかりくい込み、ガリガリと鳴らしながらそのまま勢い良く疾走し始める。


そしてしま子は、お岩さんを抱えながら懸命に逃げているセバスチャンさんに向かって突進する。


「うがあぁぁぁ―――!!」


しま子の咆哮にセバスチャンさんが気付いて振り返る。


次の瞬間、彼は物も言わずにいきなり腕の中のお岩さんを、こっちに向かって放り投げた。


「きゃああぁ――!?」


お岩さんの悲鳴。あたしも焦って悲鳴を上げる。

お岩さ――ん!?


飛んだお岩さんの体は、寸分違わずしま子の左腕にドサッと落ちた。


それを軽々と脇に抱えて、しま子は一切スピードを落とさずに走り続ける。


セバスチャンさんが両脚で深く沈みこみ、思い切り真上に向かって飛び上がった。

・・・高い!


その足元に走りこむしま子。


ザンッ!とセバスチャンさんがしま子に肩車するように着地した。


しま子は人間三人を抱え、力強く氷の上を走り続ける。